2017年9月18日月曜日

「東信自給圏を考える会」in 神科

どなたでも、どちらからでも、予約不要、無料!
郷土の未来に不安をお持ちの方はお出かけください。

自給圏は農業と農家の問題ではありません。
食産業と地域経済の問題です。農業を生産者から消費者まで含めた

食産業の原点と捉えれば、全市民の問題になります!



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2017年9月16日土曜日

自給飼料増産に係る子実とうもろこしの現地研修会

9/14日、比田井会員と安江が、茨城県猿島郡境町まで視察に行ってきました。
事務局のミスで、実演がほんのちょっとしか見られませんでしたが、刺激たっぷりの
有意義な研修会でした。参加者は150人ほど。

農村再生の扉が開かれた気がする研修会でした。現物、現場を見る効果でしょうか。

要領は、以下の通りです。
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主催:農林水産省関東農政局生産部畜産課、茨城県農林水産部畜産課、
   一般社団法人日本草地畜産種子協会

目的:農林水産省は、飼料自給率を平成37年度までに40%とする目標を掲げており、自
飼料増産に向けた取組を行っているところです。
関東管内ではコントラクター等の飼料生産組織を活用し、稲WCSや飼料用米等水田を有効
活用した自給飼料の増産に向けた取組が行われていますが、近年、一部の地域で子実用と
うもろこしの生産・利用拡大の可能性がみえはじめたところです。
このため、関東地域の水田地帯において子実用とうもろこしの生産拡大と需用者である畜
産農家の利用拡大を図るため、生産圃場にて収穫実演を実施するとともに、管内における
子実とうもろこしの生産現場での課題や波及可能性等について研修会を開催します。

プログラム:
(1) 実 演:(10時30分~11時30分)
    子実とうもろこしの収穫実演
    協 力:クボタアグリサービス株式会社
              ヤンマーアグリジャパン株式会社


(2) 講 演:(13時00分~17時00分)
  (ア) 情勢報告(13時15分~13時30分)
       「国産濃厚飼料の展望について」
       講 師:農林水産省生産局畜産部飼料課 課長補佐(飼料生産計画班) 太鼓矢 修一氏
  (イ) 基調講演(13時30分~14時15分)
       「水田での子実とうもろこし生産の技術向上について」
       講 師:農研機構畜産研究部門
       飼料作物研究領域栽培技術ユニット主任研究員  森田 総一郎氏
  (ウ) 事例発表(14時15分~16時00分)
    (a)「国産子実とうもろこしの生産実態と展望について」
        講 師:株式会社農業技術通信社代表取締役  昆 吉則氏
    (b)「自ら生産する子実とうもろこしを使った畜産物の高付加価値化について」
        講 師:株式会社塚原牧場代表取締役社長  塚原 昇氏
    (c)「水田を活用した輪作体系での子実用とうもろこし栽培について」
        講 師:小泉ファーム代表  小泉 輝夫氏
  (エ) パネルディスカッション(16時00分~17時00分)
       「子実とうもろこし生産を都府県で展開していくには
               ~都府県で生産するメリット~」
(3)パネル・ディスカッション
◆コーディネーター:昆  吉則氏(株式会社農業技術通信社代表取締役)
◆パネリスト:
  太鼓矢  修一氏(農林水産省生産局畜産部飼料課課長補佐(飼料生産計画班))
  森田  総一郎氏(農研機構畜産研究部門飼料作物研究領域栽培技術ユニット主任研究員)
  塚原  昇氏      (株式会社塚原牧場代表取締役社長)
  小泉  輝夫氏   (小泉ファーム代表)

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パネルディスカッションの概要:

・「国産濃厚飼料の展望について」:太鼓矢 修一氏
現在飼料自給率は27%、これを平成37年度までに40%にする計画。
特に濃厚飼料は現在約8割輸入。その代表が子実とうもろこし。 
そのための水田活用の推進。

・「水田での子実とうもろこし生産の技術向上について」:森田 総一郎氏
専門の研究員の詳細の発表があった。トウモロコシの性質、利用の仕方、栽培技術、
雑草対策、獣害対策等。たくさんのPPTデータがあります。

・「国産子実とうもろこしの生産実態と展望について」:昆 吉則氏
子実用とうもろこし生産の仕掛け人である昆吉則さんの講演はさすがに説得力があり
気迫がありました。諸データから考えてこの通りだと思います。以下、要点:
「水田とは水のはれる畑である」、「子実とうもろこしの投下労働時間当たりで考えれば
水稲より収益性が高い」、「子実とうもろこしへの財政負担は飼料米の4ぶんの1」、
「誰にでもできることではなく、経営能力と技術を持った彼に未来を託す」、「畑作技術
と子実とうもろこしが水田農業を救う」。

・「自ら生産する子実とうもろこしを使った畜産物の高付加価値化について」:塚原 昇氏
1990年にエコフィードの製造販売を始めて、2002年から梅山豚(メイシャントン:中国
の豚)の生産をはじめた。この方の畑が子実とうもろこしの収穫実演会場でした。
(エコフィード:食品製造副産物(醤油粕や焼酎粕等、食品の製造過程で得られる副産物)や売れ残り(パンやお弁当等、
食品としての利用 がされなかったもの)、調理残さ(野菜のカットくずや非可食部等、調理の際に発生するもの)、
農場残さ(規格外農産物等)を利 用して製造された家畜用飼料)
梅山豚は国内に100頭しかいない幻の最高級豚肉だといいます。

・「水田を活用した輪作体系での子実用とうもろこし栽培について」:小泉 輝夫氏
一人で(臨時1人)42haの栽培。内訳は、水稲30ha、大豆9ha,子実とうもろこし3ha.
千葉県成田市の湿地帯なので、谷津田が多く、排水工事を行い乾田化に取り組んでいる。
まるでこの地域の中山間地という感じの場所もあり、すごい取り組みで感動しました。
どの作物にも対応できる圃場作りを目ざしています。

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感想:
昆さんが初めて子実とうもろこしの栽培に取り組んだのが2011年。今年で7年目。この数
年、50%位づつ作付け面積が増え、そして今年、初めて農水省が子実とうもろこしのた
めの予算要求を出したのです。昆さんが感無料と仰っていました。

参加者全員の共通の意識は、稲作依存への危機感だと思います。だから「どの作物にも対
応できる圃場作り」を目指す。子実とうもろこしの需要の大きさと採算性の良さへの魅
力。そして省力化のための機械化。

昆さんの次の言葉が正しいと思います。
「稲作の呪縛から離れること。畑作技術と子実とうもろこしが水田農業を救う」

農水省が国産の本格的畜産飼料の生産に、やっと重い腰をあげたという感じです。しかし、
農業政策全般から見れば、飼料米やWCS(ホールクロップサイレージ)とバッティング
する気がします。省内調整が難しいでしょうね。

農業経営者である塚原さんと小泉さんの取り組みは本当にすばらしく感動しました。
特に小泉さんの谷津田への取り組みをみれば、どんなところだってできると思います。
我々は泣き言ばっかり言っていて不甲斐ないと思わされました。
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2017年9月9日土曜日

緊急提言:農振農地への太陽光発電は阻止するべき

農政に関わる全ての皆様
特に 農業委員会の皆様

 農地転用した畑と畑地のままの太陽光発電について予々問題だと思っていましたが、平成29年度になってから、農地転用しない水田にも太陽光発電ができるようになり、一段と深刻になりました。

 ご承知のように、今までは農地転用するのが基本でしたので、それが展開のブレーキになっていました。ところが9月初旬、上田市塩田平に、かつて圃場整備事業を行なった優良田んぼのど真ん中に、稲の上に太陽光発電が設置されているのを確認しました。


 その数日後、買取と借地の対象の中に田が入っている新聞折込チラシを見てまたビックリです。その価格が法外です。添付の通りです。この条件では、どんどんと水田にも太陽光発電が出現するでしょう。


  都会の感覚では理解できないと思いますが、中山間地の農地はほとんどタダ同然です。それを坪20007000円で買い取るとか、耕作地としては年坪15円~30円ほどにしかならない賃貸料を200500円払うとい書いてあります。みなさん跳びつくでしょう。

 田園の破壊が起こります。田園の中に虫食い状態に太陽光発電が出現するでしょう。中山間ほどこの状態が進むと思います。農業を辞めたいと考えている農家がたくさんあるからです。

 これは大変なことになります。一度設置されたら、最低20年は動かせませんし、その後撤去されるかどうかも判りません。

  当NPOが推進している自給圏構想(スマート・テロワール)は、ほとんど輸入に頼っている穀物生産と畜産の振興が原点です。そのためには、余剰の田んぼと耕作放棄畑の再整備が必須です。

 そのために農地のゾーニングと再整備が必要ですが、その中にひとつ太陽光発電があれば、それを含む全体がダメになってしまいます。農業改革に影響するだけでなく、美しい景観と農村文化も大きく毀損してしまいます。この政策を大至急阻止しなければなりません。

 農地の再整備と農畜産業の振興なくして農村の再生はあり得ません。

 関係の皆様の御賢察をお願い申し上げます。


NPO法人信州まちづくり研究会
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スマート・テロワール通信 3

この記事は月刊誌『農業経営者』8月号からのコピーです。毎月掲載されます。


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長野も発進 スマート・テロワール構築に本腰
カルビー(株) 取締役相談役 松尾雅彦
3 20170901

スマート・テロワールとは中核となる地方都市と農村からなる自給圏の構想である。 そのコンセプトはサステナビリティ(持続可能性)を目指し、 「田畑輪換を畑作輪作へ転換する」「地域に女性の職場の食品加工場をつくる」 「住民の地元愛で地元産の食品を応援する」という3つに取り組むこと。 実現すれば、21世紀の社会において農村が最も元気になる。

長野も発進
スマート・テロワール構築に本腰

山形県に続き、長野県がスマート・テロワール構築に挑む。長野県は2017年度新設事業「地域食料自給圏構築」(5カ年計画)を開始した。阿部守一知事は重要政策課題に「地消地産」を掲げ、松尾雅彦を「食の地消地産アドバイザー」に委嘱した。今年7月14日、長野県農政部(主催)と松尾雅彦(主催者)は長野県野菜花き試験場佐久支場(小諸市)の見学会を開催し、計画の全容と現状を初公開した。
【実証実験計画】
地域内自給圏の実現に向け、地域内循環システムの実証実験を行なう。
1)畑作輪作・耕畜連携実証。ジャガイモ・小麦・トウモロコシ・大豆の畑作輪作試験。
2)農産物加工・地域内消費実証。民間業者と連携した畑作物・豚肉の加工試験。消費に結びつける実証。
【作付計画】
全7500平方m12区画に分割し、4作物を連作区・無堆肥区・堆肥区で作付けし比較する。4作物は、小麦(ゆめかおり)・大豆(ナカセンナリ)・ジャガイモ(トヨシロ・男爵薯)・子実トウモロコシ(スノーデント108)。
1)連作区:4作物をそれぞれ連作。化学肥料のみ使用。
2)無堆肥区:4作物をそれぞれ輪作。化学肥料のみ使用。
3)堆肥区:4作物をそれぞれ輪作。堆肥・緑肥・化学肥料を使用。

山形大学農学部、
自給飼料で豚を肥育

山形大学農学部で進行中の豚の肥育試験は、現在2回目の出荷を間近に控えている。前回の肥育試験と試作加工の結果を踏まえ、より美味しい加工品として9月中を目標にロースハム、ソーセージ、ベーコンとして市販される。現在、肥育豚数は18頭。110kgを出荷の目処としている。7月中旬現在80kg前後で発育は順調だ。 
飼料の組成は9割以上が自給生産のトウモロコシと大豆、ジャガイモで、特にジャガイモはフスマと混合してサイレージ(発酵飼料)に調製して給与している。なお、今年から栽培を始める小麦を収穫後、自給のフスマを利用する。 
今回の肥育試験では、主にジャガイモサイレージの配合割合を0%、15%、30%に3段階に設定し、ジャガイモの配合割合の違いによる発育速度の評価および肉の品質評価を行なう。 
将来的に庄内地域の生産者が自給飼料を主体に肥育する場合、作物の収穫時期や収穫量によって飼料組成を変えざるを得ないことを想定してのことだ。大学ではエネルギーとたんぱく質を一定に維持すれば組成を変えても発育に差はないと仮定している。現在までにジャガイモの配合割合の違いによる発育の差は出ていないという。 

視点

松尾 雅彦(スマート・テロワール協会会長 元カルビー社長) 

長野県の阿部知事は、1982年に農水省が提唱した地産地消の政策を否定して、「地消地産」を経済政策に据えています。私は昨年、阿部知事から食の“地消地産”アドバイザーの委嘱を受けました。拙著『スマート・テロワール』の仮説の通り、長野県でもまず実証展示圃づくりに取りかかりました。 
農山漁村を蘇生するには「地消地産」が原則です。地域再興の原資を国家の財政に依存するのではなく、地域の消費活動をベースにすることが「地消地産」です。農業に限らず、林業でも水産業でも共通の原則です。国家の財政に期待しても、全国すべての地域の要望に応えようとすれば、スズメの涙ほどの配分にしかならず役に立ちません。政治家の選挙の具になるだけです。一方、住民の消費活動は、住民がいるかぎり途絶えることがありません。 
「地消地産」はかつて社会システムとして存在していました。しかし、19世紀の産業革命以降に盛んになった分業が海を渡って拡大し、それに伴って仲立ちする商社の事業も増大すると「地消地産」は崩壊しました。そして、現代は「重商主義」全盛の時代になっています。農山漁村の再興を図るには、「重農主義」の旗を立て、地消地産から復活の槌音を響かせること。それ以外に道はありません。

これは復古趣味ではありません。たとえば、山の手入れが行き届いていたころを懐かしんでも無駄です。昔は人々の多くが農村に住み、人手があったからであって、現代は事情が異なります。 
今の時代に合った山や農地や海などの資源の活かし方を開発しながら「地消地産」で需要を掘り起こすこと。この作戦は現代だからこそ有効です。21世紀は「サステナビリティ」が重視される時代だからです。人は皆、生態系の中で生かされています。農山漁村を捨てた人にお金で地域の蘇生を依頼すると、生態系を壊しかねません。地域の人々が手間のかかることを厭わずに、地域の生態系を起点に「地消地産」のシステムを創れば、地域社会の「サステナビリティ」が可能になります。 
このとき地域の基本の単位となるのが「テロワール」です。農業も林業も水産業も、テロワールで成功することができるはずです。「地消地産」は「地産地消」ではありません。念のため。 

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スマート・テロワール通信 2

この記事は月刊誌『農業経営者』8月号からのコピーです。毎月掲載されます。


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地域産業の基礎は農業だ
カルビー(株) 取締役相談役 松尾雅彦
2 20170802

スマート・テロワールとは中核となる地方都市と農村からなる自給圏の構想である。 そのコンセプトはサステナビリティ(持続可能性)を目指し、 「田畑輪換を畑作輪作へ転換する」「地域に女性の職場の食品加工場をつくる」 「住民の地元愛で地元産の食品を応援する」という3つに取り組むこと。 実現すれば、21世紀の社会において農村が最も元気になる。

向都離村を食い止め、
未利用資源がある場所の活用へ

国土を4250万人ずつ3つの層に分けた地図(図1)の説明を見ると、赤色の都市部の人口が増加し、緑色の農村部の人口が減少しているのがわかる。これは、若者たちが農村から都会へ向かう「向都離村」が起きているのを示している。
「向都離村」の問題のひとつが「少子高齢化」である。農村では農業従事者の出生率が高いが、都市部では非正規労働で働く人が多く出生率が低い。
もうひとつの問題は、人口の半数は農村部の資源の上に成り立っているにもかかわらず、若者たちが農村部の資源とは関わりがない場所で働いているということである。表1のように、都市化が進む地域ほど、耕地=資源が支える人口が多い。
本来、未利用資源が豊富な農山漁村は、日本の成長エリアである。図1の緑色の地域に日本の耕地の78%があり、赤色の地域にはたったの2%に過ぎない。全体の40%を占める休耕田や耕作放棄地を畑作や畜産に転換して活用すれば、自給率70%を実現できる。

愛知県は日本で最も元気に見える地域だが、30年先のビジョンは?

スマート・テロワール協会会長の松尾雅彦は講演で、5月に愛知県知多半島を訪問した。知多半島・渥美半島・三河湾地区の人口は297万人。市町村別に見ると、いずれも10年間で103%と増加している。さすがに世界一を誇るトヨタ自動車の周縁都市である。自動車産業の下請工場の操業度に支えられ、住宅地の開発が活発だったと推測できる。 
しかし、よく考えてみよう。現在はハイブリッド車で成功しているが、30年先のビジョンに焦点を当てれば、電気自動車のシェア上昇を考慮しないわけにはいかないはずだ。電気自動車は部品点数が1/5になると言われている。そのとき下請工場はどうなるか。現在も部品価格は毎年1%の割合で削減されている。大企業の下請工場が衰退するのは歴然としており、悲哀が感じられる。 
この状況は、現在の大阪市周縁地域の困難な状況と重なる。軽工業と電器産業で栄えた大阪府下の人々は、産業がアジア諸国に流出して将来のビジョンに「カジノ」の招致を期待するようになった。愛知県豊田市の周縁市町村は、大阪の周縁地域の体験を学習する必要がありそうだ。 
愛知県全体の農業出荷額は3000億円。約12000haの休耕地がある。国産原料に依存したカルビーは、7000haの耕地からスナック菓子1500億円の販売額を生んでいる。この計算を用いれば、休耕地で2500億円の食料出荷額が創出できる。 
三河湾周辺には特徴のある食品産業がある。この食産業を伸ばしていくことが鍵である。農水産業と連携しながら地産地消を活発にし、孫子に遺す地域社会を目指してオンリーワンの地域をつくってほしい。 

視点
松尾 雅彦
スマート・テロワール協会会長
元カルビー社長

【工業品輸出重視は日本の大阪化を招く】 

「日欧EPA交渉が大筋で合意」と報道され、全世界の30%で関税のかからない地域が出現すると、喜色満面でテレビのアナウンサーが報じていました。 
そのアナウンサーは、ついで影響を受ける業界に対してはそれなりの措置を講じるといっています。顧みれば、オレンジの自由化以来「適当な措置を講じる」というメッセージが絶えることはありません。この措置が「保護主義」で、日本の農村は保護主義の呪縛に呪われているのではありませんか? 
我が国は、資源のない工業製品の輸出で栄えようという国是「加工貿易立国論」を立てて、農産物の輸入を促進してきましたが、日本人口の1/2が居住する農村部の衰退は甚しく、人口が流入する都市部でも「課題先進国」と豪語しています。 

『農村がすたり、都市がすさぶ』状況に私は「大阪化」という言葉を当ててみました。大阪は明治維新の後、官製の「文明開化」を市民が受け止め享受して大都市化したところといっていいでしょう。金融業と流通業は「堂島」のベースがありました。また、軽工業が町場に広がり、家庭電化製品の工場では、日本で最大の集積地になりました。農地は、拡大する工業製品の工場に雇用される労働者の住まいや、都市化に必要な道路などの施設に転用されていったのです。 

【後背地に農地を持たない都市の悲哀】 

工業部門の盛りは30年といわれますが、大阪の主産業の家庭電化製品の工場がアジア各国に移っていきますと、まず、労働者の賃金カット(非正規工の蔓延)が進み、次に工場がなくなります。人々の見る世界が将来の明るい姿でなく、過去の栄光になります。 
食と農が、地域の産業の中でベースにできていれば、21世紀のサスティナブル社会に大きな期待を描くことができるはずです。 
政府が、TPPやEPAを急ぐように工業製品に肩入れした政策から脱皮できないとしたら、人口の1/2が住まう農村部は、自給圏というバリアを築いて守ることを急がねばなりません。その政策は保護主義ではありません。自給圏地域内でも自由な競争は確保されており、域外産品があることが貢献しているからです。 

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スマート・テロワール通信 1

 この記事は月刊誌『農業経営者』7月号からのコピーです。毎月掲載されます。


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「スマート・テロワール」ついに幕開け

カルビー(株) 取締役相談役 松尾雅彦
1 20170707

 スマート・テロワールとは地方都市を含む広域の農村自給圏の構想である。 そのコンセプトは食料のサステナビリティ(持続可能性)を目指し、 「田畑輪換を畑作輪作へ転換する」「地域に女性の職場の食品加工場をつくる」「住民の地元愛で地元産の食品を応援する」 という3つに取り組むこと。実現すれば、21世紀の社会において農村が最も元気になる。

山形大学、畜肉加工品の
アンケート調査を実施

 山形大学農学部は5月、鶴岡市と酒田市のスーパーマーケットにおいて、大学が肥育した豚を加工したウインナー、ロースハム、ベーコンの試食アンケート調査を実施した。これらの畜肉加工品は、大学や地域で収穫された加工用ジャガイモや大豆などの規格外品およびトウモロコシを餌として与えた豚を、地元の加工会社が試作したものである。アンケートは既存の市販品と大学の試作品との情報を与えず試食してもらい「どちらを購入するか」を問う。結果は左図のようにウインナーは市販品、ロースハムとベーコンは大学の試作品が優勢という結果が出た。
 大学では、このアンケート調査を元に塩分・水分・せん断力価および見た目・香り・食感・味・購入意欲などの分析をして加工会社とともに品質改良をしていく考えだ。
 アンケート実施日は休日で、主婦や家族連れ、若者、年配者など老若男女問わず多くの人が参加した。「いつから販売になるのか」「価格はいくらか」「非常に美味しかった」「地元の取り組みなので協力する」などの声が寄せられ、高い関心が見られた。

 山形大学のアンケート実施は、スマート・テロワールの取り組みの一環である。 
『スマート・テロワール』(松尾雅彦著著、2014年、学芸出版社)で語られている農村自給圏が16年、ついに実現化に向けて第一歩を踏み出した。日本で初めて挑戦したのが、山形大学農学部を中心とした山形県庄内地域である。大学では16年4月より松尾氏の寄附講座「食料自給圏『スマート・テロワール』形成講座」を開設し、5年間かけてモデルづくりに取り組む。 
 目標は、畑作と畜産の連携を図る耕畜連携、加工業者と一体となって厳選素材を利用した加工食品を製造する農工一体、地域内で販売・消費する地産地消によって地域内に循環型の経済圏を構築することだ。 

 16年度には山形大学農学部附属高坂農場で、ジャガイモと大豆、トウモロコシ、ソバ(17年度からは小麦)の畑作輪作と豚の肥育を始めた。収穫物は品質の高いものだけを食用にし、厳選素材だからこそ出せる味の加工食品を目指す。規格外品や加工残渣は豚の餌にし、豚の糞尿は畑の肥料として活用していく。こうして耕畜連携によって肥育された豚を加工し、地域内流通させることを目指している。 
この考え方の下で生まれた畜肉加工の試作品が、今回のアンケート調査で使用されたウインナーとロースハム、ベーコンである。地元住民に、輸入肉を加工した畜肉加工品ではなく、地元産の畜肉加工品を選んでもらうためには、高い品質のものを安い価格で提供しなければならない。それを実現するための挑戦が続いている。 
(文/スマート・テロワール協会事務局) 

視点

 いつもジャガイモの話をしている私だが、カルビーで「かっぱえびせん」に使うエビの調達で、じつは水産物の流通にも詳しい。エビは魚よりも鮮度が落ちやすい。海外から日本にエビを運ぶには、鮮度が良いうちに水揚げした浜ですぐに冷凍してしまうのがいちばんよい。 
 3月24日、私は長崎で講演をした。長崎といえば魚の県だが水産業は低迷している。私は講演のなかであるグラフを見せた。長崎県が出典の生鮮魚介と生鮮肉の購入量を比較するグラフである。それを見ると、魚の消費が肉に取られたと勘違いしてしまう。しかし事実は、国内の鮮魚が減って海外から冷凍した魚が増えているのだ。スーパーやコンビニの弁当にはどれも魚が入っている。あれは輸入品である。肉と魚が入れ替わったのではなく、国内の魚と海外の魚が入れ替わっているのである。
日本で加工される魚は、アジの干物のような尾頭付きのものが多い。これは漁の日も干す日も天気が良くなければできない。すなわち毎日つくることができない。しかし食べる側はどうだろう。毎日干物は食べないが、冷凍した魚は弁当や回転寿司などで毎日のように食べている。 
 一方、中国やベトナム、チリでは魚を3枚におろしてサクにして冷凍して日本に輸出している。それが日本人の弁当の食材になっている。 
 長崎も、大きな魚を獲って鮮度が高いうちに漁港で3枚におろして冷凍し、それを出荷すればよい。小さい魚だと手間賃を出せないが、大きな魚なら手間賃を出すことができる。漁港の近隣には長崎市や佐世保市など少なからず消費してくれる都市もある。輸入品ではなく近海の魚だというアピールもできる。 
 陸のものも海のものと同じ。加工が必要な小麦や大豆は輸入品である。それは農村から都市に出て行った女性たちがつくっている。そして当の女性たちは調理の手間がかからない加工品を求めている。コメを推奨する男性たちは、お菓子屋やパン屋になりたい女性、洋食が好きな女性、料理に時間をかけたくない女性が増えていることに気づくべきだろう。地元の食材を使い、地元の加工場で地元の女性が加工品をつくるのがスマート・テロワールの形である。 


2017年8月18日金曜日

「東信自給圏を考える会」in 神科 上田市

地域の将来を心配されている方はお出かけください。

自給圏は農業と農家だけの問題ではありません。
食産業と地域経済の問題です。農業を生産者から消費者まで含めた
食産業の一部と捉えれば、全市民の問題になります!

19回目になります。
上田市上野ヶ丘公民館で行います。




































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