2011年10月26日水曜日

「田舎暮らしコミュニティ」提案書

下記は,提案書の全文ですが,プレゼンテーションでは,
                  それぞれの内容を説明致します。
尚,Youtubeの動画で概要を見ることができます。(⇦クリック)


目  次
    Ⅰ 何故,「田舎暮らしコミュニティ」づくりか
 Ⅱ 「田舎暮らしコミュニティ」とは
 Ⅲ 時代背景 3.11で何が起きたのか
 Ⅳ 提案の前提となる社会的背景
 Ⅴ 想定するコミュニティの特徴
 Ⅵ 想定する「田舎暮らしコミュ
   ニティ」で実現できること
 Ⅶ どのような人を対象と考えているか
 Ⅷ 最も大切なことは
 Ⅸ 何故,コミュニティなのか
 Ⅹ 具現化に向けての進め方

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 何故,「田舎暮らしコミュニティ」づくりか
より自然に近く,より健康的で,より安全・安心で,安価に暮らせる
自己実現の”コミュニティ”づくりが可能です

 「田舎暮らしコミュニティ」とは
田舎暮らし”とは,
自然豊かな田舎で,農村の良さを活かした
人間関係が良好な暮しと考えています。

コミュニティ”には様々な種類と大きさがありますが,
ここで言う”コミュニティ”とは,
そこに住む人々によって合意された運営ルールに基づき,
生活のプライバシーとハードウェアの共有・共同(註1)がバランスよく確保され,
「より健康的で,より安全・安心で,安価に暮らせる自己実現の生活」を具現する
小さな集落を言います。
ここでは5戸から10戸程度を想定しています。

(註1)共同とは,複数の人や団体が、同じ目的のために一緒に事を行ったり、同じ条件•資格でかか
    わったりすること。(国語辞典より)

 時代背景 3.11で何が起きたのか
(猪瀬直樹氏は著書「言葉の力」の中で下記のように述べています。)
「津波が海辺の町を根こそぎ押し流していく光景を見ながら僕はそう思った。語弊を恐れずに述べれば,この国は第二次世界大戦以来の日常性の断絶を経験しているのだ。この悲惨な現実を克服する過程で,新しい復興という時代精神がこの島国に胚胎するかもしれない。」

 我々はその通りだと思いました。
猪瀬氏が述べている「新しい復興」を私達は「本物の復興」と読み替えました。
決して津波と原発による被災からだけの復興を意味しているのではないと思います。
政治,経済,教育,まちづくり等,社会のシステムと生活のありようまで含めた日本全体の復興をさしていると思いました。

NPO法人信州まちづくり研究会は平成13年より”まちづくり”に関する研究活動を,続けて参りました。3.11の大震災に遭遇し,「本物の復興」に直面している今,改めて「理想的なコミュニティづくり」に挑戦しようと決めました。

 提案の前提となる社会的背景
1.「3.11に起きた第二次世界大戦以来の日常性の断絶」(猪瀬直樹氏の言葉)を出発
  点として新たな「日本人の価値観とライフスタイル」を復興(復旧ではなく)しなけれ  ばならない。
2.首都圏一極集中には大きな問題=リスクがあるという認識が高まっている。
3.今までの社会システムとライフスタイルには無駄が多すぎたという反省がある。
4.国家的財政危機を背景に福祉予算の縮減が求められている。
  生活の質を下げずにコストを下げなければならない。
5.地方には,豊かな自然と自給自足の条件を備えた土地が活用を待っている。

 想定するコミュニティの特徴(註2
1.プライバシーを守り,かつ円滑な共同・共有の仕組みをつくる自治ルールを持つ。
2.地方自治法260条の2に基づく「地縁による団体」(註3を組織し運営する。
  共有の土地・建物を無税で所有できる。
  農地の場合は借用のみ。(経営基盤強化促進法による)
3.コモンハウス(共同の家)を持ち,共有・共同の良さを最大限発揮する。
4.やる気持ちがあれば,かなりの食料自給が可能であり,自給率の向上に貢献できる
5.生活コストを低減できるので,間接的に国の財政に貢献できる。
6.上記4点が実現すれば,このコミュニティの評価が高まり不動産価格が上がる。

(註2)この考え方は,北欧で生まれ欧米で拡がりをみせている「エコヴィレッジ」のユニットである「コウハウジング」に倣っています。NPO法人信州まちづくり研究会ではこの研究のために,北欧へ1回,北米に1回視察団を派遣しました。インターネットで検索すると,たくさん資料が掲載されています。

(註3)平成3年に地方自治法が改正され、第260条の2において,自治会などの地縁による団体のうち、一定の要件に該当する場合は、市長の認可があれば「法人格」を取得できるようになり、その団体名義で不動産登記ができるようになりました。税制面でも優遇されています。

 想定する「田舎暮らしコミュニティ」で実現できること(概要)
1 より自然に近く,
御牧ケ原から八ヶ岳方面を望む
  県土の78%が森林を占めている(全国  3位)高山が多いので,水が豊富で清  涼である。

2 より健康的で,
 第一条件は水と空気。水と空気の元は森 林。
  生活地帯が,標高300mから1000mなの  で空気が清浄。
  飲料水も湧水が多い。
 第二は食べ物。水と空気が良いので,
  生産される作物も良質。
  無農薬で自給自足が可能(強制は考えて
  いません)。
 第三は自然のセラピー。ハイキング,森林浴,
  川釣り,登山が身近にできる。
  日常の農作業が最高のセラピーとなる。

3 より安全・安心で,
 第一に,食の安全・安心。きれいな水と空気で自給自足が可能。
 第二に,日常生活の安全・安心。
  生活のプライバシーとハードウェアの共有・共同を可能に
  するルールを持ったコミュニティなので。
  災害,事故の際にもコミュニティの力が発揮される。
 第三に,法人格を持つ「地縁による団体」をつくり,
  コミュニティの共有不動産・資産を所有することができる。
  法人として保険契約もできる。
  この仕組みがコミュニティの安全・安心を支える。
 第四に,コミュニティの強さが,
  次世代への資産継承をサポートする。

4 安価に暮らせる
 ○自宅はできるだけ小じんまりと造り,共有・共同できるものは
  コモンハウス(共同の家)に設置する。
  従って個人の家に建設コストが掛からず,維持管理費も低減できる。
 ○コモンハウスでは,集会や食事・懇親会もできる部屋,調理台,
  ゲストルームを備えるので,各個人の家に客間は無くても良い。
 ○多目的ガレージや高額な機械・装置等を共有するので,
  各個人で高額な投資を必要としない。
 ○自給自足で使う機械・装置などは,各個人の使用時間は僅かなので
  共有で充分である。
 ○プライバシーと共有・共同のルールを持ち,こころの通う
  コミュニティでは助け合い・融通し合いができるので,
  総合的にコストを削減できる。
 ○乗用車やトラック(軽トラ)を共有することもできる。
 ○立派なコミュニティを形成することにより,社会的評価が高まれば,
  各自の持つ土地と家の不動産価格が上がるので,
  転売が有利に行えて,生涯コストの低減につながる。

5 自己実現の
 ○1から4までの可能性を元に,
  自分の仕事,趣味,楽しみを実現させる。
 ○大きく農業,林業を展開することも考えられる。

 どのような人を対象と考えているか
 基本的には,「このコミュニティの理念とやり方に賛同頂ける方」ならどなたでも仲間になって頂けます。コミュニティには年齢層の多様性が必要だと考えるからです。

 しかしながら,現在”田舎暮らし”で信州に移住又は二地域居住されている方は,退職者が多いのが実態です。若い人が少ない理由は,就職機会が小さいためだと思います。

 最も大切なことは
コミュニティにおけるプライバシーと共有・共同のルールづくりと,良識に基づく,バランスの良い秩序の創出・保持です。
そして,決して特別なことではなく,普通の生活だということです。

更に,心しなければならないことは,お気づきのように,このコミュニティづくりはかなり面倒なことです。でき上がったものを買うなら簡単ですが,このコミュニティは自分達で全てのことをやらなければなりません。

ですが,その面倒さは第二の人生を有意義で価値あるものにするためです。
人生80年時代になりました。長い第二の人生を成功裏に楽しむためには1年や2年の努力はするべきではないでしょうか。

 何故,コミュニティなのか
今まで信州へ,”田舎暮らし”移住をされた方を調査してみると,中には知人がいるとか自分の故郷だからという方もいますが,ほとんどが単独で落下傘降下のように,移住地に移り住んでいます。
そのような状況の下で,心の通う安全・安心な生活を築いていくことは大変です。更に,何もかも自分でやらなければならない難しさと不経済が伴います。農地を借りるのも買うのも一人では難しいです。
暮らしていく上で重要な問題を解決していくためにコミュニティは有効です。人間は,コミュニティで暮らすというのが基本だと思います。

コミュニティを創りあげるのは時間と労力を必要とします。しかしその努力が参加者の幸せを担保致します。
日本のモデルとなるようなコミュニティの創造を楽しみましょう。

 具現化に向けての進め方
(順調に進む状況を想定してます。このように行かないこともあり得ます)
Step プレゼンテーションを東京都内で行う。
   「田舎暮らしコミュニティ」づくりに関心のある人々に参加して頂き,
    プレゼンテーションを聞いて頂きます。
Step プレゼンテーションを踏まえて,その後の
   「田舎暮らし推進研究会」への参加・不参加を決めて頂きます。
Step 「田舎暮らし推進研究会」を
   長野県佐久地方を会場として,開始致します。
   必要に応じて増減致しますが,概ね半年間で56回を想定しています。
Step 「田舎暮らし推進研究会」の趣旨に添い,
    具体的に移住或いは二地域居住をお考えの人々に残って頂き,
   「田舎暮らし実行委員会」を結成します。
   コミュニティの場所,設計コンサルタントを選定します。
Step 「田舎暮らし実行委員会」を月1〜2回ペースで開催し,
   立地の検討,コミュニティ・ルールの作成,
   土地利用計画等の所謂コミュニティ・デザインを行います。
   平行して,原価計算を進め,価格を算出します。
Step 土地の購入を決め,購入希望者が相互に,
   「田舎暮らしコミュニティ参加基本契約」を締結します。
Step 土地造成工事,建築工事に着手する。
Step 入居を開始する。

上記のStepで進めますが,どのStepからでも,参加・退会は随時できることとします。

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平成23年10月吉日
プレゼンテーター&ファシリテーター
          副理事長兼事務局 安江高亮
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