2012年2月25日土曜日

農薬空中散布問題3 村山氏の論証と提案


1月21日ブログに農薬空中散布「効果写真」の不適切性としてご紹介した村山論文(ヤマンバの会事務局長)に対し,長野県林務部が迅速な対応をされ情報提供(宮報告)を頂き,その内容を2月11のブログに掲載しました。
 本日は,昨日村山様から頂いた宮報告に対する疑義の考察・検証と提案を全文掲載致します。長いですが読み応えがあります。


話題の岩井堂山
私はこの論証文を読んでいて感動しました。自らも絶対視せず客観的で冷静で論理的であり,現在の自治体が国の機構の中で難しい立場に置かれていることまで配慮した論述を展開しています。何よりも高い倫理・価値観に裏打ちされており,真に県政のあり方の向上を願っていることが強く表現されています。


前回も書きましたが,日本の行政の情報公開が適正・適切であればこのような問題は起き得ない筈です。行政の情報公開が,半世紀に渡って続いた自民党(=社会党)による政官業複合支配体制(悪く表現すると癒着)により歪められてしまった結果であり,行政の抜本改革が叫ばれるようになって久しいのに未だに改善をみない結果だと思います。実に悲しい現実です。


村山氏は最後に「単に空散問題を越えて「県民と行政との正しい在り方」を模索・創造する生きた実例となる可能性があるように思います。」と書いています。長いですがお読みください。私の独断で,注目部分にアンダーラインを入れさせてもらいました。


尚,文中「はじめに」の中に記載されている『松くい虫防除の農薬の空中散布の今後のあり方』(平成2311月/最終報告書)はリンクしています。写真も見られます。





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■『長野県検討部会最終報告書』農薬空中散布の効果問題を考える


村山論文に対する「宮報告への見解」



里山保全「ヤマンバの会」事務局長 村山 隆



Ⅰ.はじめに

岩井堂山の現地調査報告書「共通確認した農薬空中散布〈効果写真〉の不適切性」(2012年1月8日付/以後「村山論文」と呼ぶ)が、偶然の機会から「NPO法人まちづくり研究会」(2012年1月21日ブログ)を通して、県林務部森林づくり推進課(宮宣敏係長)の目に触れました。行政担当者である宮係長は素早く対応されて、自身の踏査(131日実施)結果を「情報提供」(以後「宮報告」と呼ぶ)と云う形で、26日付で公表しました。私はその迅速な反応ぶり驚き、少なくない感動を覚えました。
私は「長野県有人ヘリ松くい虫防除検討部会最終報告書(20111125)(以下最終報告書)を読み、一県民として、最終報告書の「空散効果写真」についての疑問点を率直に指摘しました。その当事者の私に、宮係長がわざわざ送付して下さり嬉しく思いました。今回の素早い行政側の姿勢は、時代を先取りした感があって、新しい県政の予兆を感じさせました。
ここでは、「村山論文」と「宮報告」とが公になった以上、正々堂々と意見を交流したく思います。裏表なく全てをオープンにして論議することは、私の理想です。このプロセスは双方にとって有意義に作用することを期待しつつ、宮報告への『見解』を表明します。

※なお、本論文を進めるにあたり、以下の3資料を参考文献として参照ください。
○『松くい虫防除の農薬の空中散布の今後のあり方』(平成2311月/最終報告書)
○村山論文「共通確認した農薬空中散布効果写真の不適切性」(平成24年1月8日)
○宮報告「農薬空中散布効果写真の不適切性に関連する情報」(平成24年2月6日付)



Ⅱ.村山論文が指摘した「空散効果写真」の不適切性(要約)


20111211日に行われた現地調査・検討会を踏まえ、私は「県民目線から見て、この『比較カラー写真』で空散効果を確認・説得するのは無理であり、提出写真は不適切である」と指摘しました。さらに、「農薬空散効果については、この写真では判断不可能なので厳密なる“別個の検証作業”が必要です」と述べています。
つまり、私の指摘は二段構えになっているのです。第一段は、効果写真の適切性についての是非問題。第二段は、農薬空散効果についての厳密な検証作業の必要性についてです。



Ⅲ.宮報告の踏査「内容」についての疑問点

宮氏は、報告で「7項目」にわたる主張を展開しています。各項目は要点が整理された内容ですが難解でした。また、宮報告では断定表現と曖昧表現とが区別されていることが特徴でした。宮報告の事実関係を精査した結果、何点かの「疑問点」が浮上しました。これらは考察の土台に当たる重要部分ですので、次に挙げてみます。

1.空中散布の「実施区域」に関する疑問
1項目と3項目を関連付けて考察して見ましょう。1項目の【岩井堂山の急峻部分は伐倒駆除が困難】との説明は理解できます。それゆえに、急峻部分での枯死松は半永久的に残存・放置されるのは納得ができます。また、3項目においては【伐倒駆除は、空散不可能な松林で実施しています】と断定しています。さらに【空中散布は伐倒駆除の不可能な急峻部分で実施し、伐倒駆除は空中散布の不可能な場所で実施としている】とも説明しているのです。
ここに重大な摩り替えがあります。すなわち、空中散布を規定するのは人家からの距離であり、伐倒駆除を規定するのは、山の急峻度なのです。では、空中散布と伐倒駆除とを併用している箇所(急峻で無く、人家から離れている場所)は無いのでしょうか?


宮報告では空中散布区と伐倒駆除区とを明確に区分けしていますので、そういう併用区は無いということになっています。しかし、そのようなことはあり得ないのです。長野県の「最終報告書」では、空中散布と伐倒駆除を併用してこそ効果的だと紹介し、併用しているのが一般的です。つまり、急峻で無く、人家と離れた山中では必ず併用しているのです。岩井堂山でも、空中散布と伐倒駆除を両方実施している箇所があるはずです。ここ岩井堂山に限っては、例外地域ということなのでしょうか? 


宮報告の「空中散布範囲図」

ところで、なぜ上述のことにこだわるのでしょうか? それは空中散布の「実施区域」に関わる大問題だからです。宮報告では空散区=伐倒不可能区となっており、空散区が極めて限定されているのです。最終報告書「8頁図」と宮報告の「空中散布範囲図」を見比べてみましょう。実施面積は同じであるにもかかわらず、空散区域図の形状と範囲に大きな差があるのです。このことからも、空中散布の実施範囲は、特に山裾においては、大変にあやふやであることが解るのです。


2.坂城町側の枯死松は本当に「空散の中止後に枯れた」と断言できるのか?
2項目では、「千曲市側の空中散布を継続している松林では、ほとんど松枯れは確認できず、伐倒駆除も行われておりません。一方、南側の坂城町側の空中散布を中止した松林では、空中散布の中止以降に発生したと考えられる松枯れが、広い範囲にスポット的に点在しているのが確認でき、伐倒駆除が行えないため放置されている状況です」(原文)と述べられています。


空散中止後に枯死したと断定できる明らかな証拠を示すことが出来ないために、“考えられる”と曖昧な推測表現になったと思われます。ここは非常に重要な箇所です。曖昧な推測では、科学的な事実に基づく議論が成り立ちません。以前のデータを示すなど、見解をきちんと明言すべきです。
この場所(スポット的に枯松が存在している場所)は、急峻で伐倒駆除が不可能ですので、枯死松は放置・残存されたままの状態であると考えるのが妥当です。ですから、空散を中止した3年前に遡った時期においても、既に枯死松が累積していることが推測されます。従って、この場所での枯死松は空散を中止した後に、枯れたと断言することは出来ないのです。

3.私たちの調査結果と明確に異なる「平成23年」坂城町の伐倒駆除事情
5項目において【坂城町では平成23年度の伐倒駆除事業の発注事務が遅れたため、結果として駆除量自体が少なくなってしまった】と述べています。村山論文では、事実調査に基づいて『去年と一昨年ともに行っていた伐倒駆除を、今年(平成23年)に限って、県の指示で実施しなかった!』と指摘しました。双方の事実関係(伐倒駆除を少し実施したのか、実施しなかったのか)が異なっていますので、ここでは、さらに詳細に紹介します。


まず、加藤千砂人会長(ヤマンバの会)の証言です。加藤氏は、2011121日午後3時20分頃、坂城町森林整備課に電話をかけています。応対した女性から担当男性に変わり『平成23年、岩井堂山地区の伐倒駆除は県からの申し出(○○整備事業・工事のためと言われたが正確に聞き取れなかった)で、伐倒駆除はやらないようにとの連絡があり行っておりません。去年と一昨年は共に250㎥程ですが、伐倒していました。坂城町全体では1000㎥程伐倒駆除しています。伐倒駆除は業者さんにお願いしてやっています。今年も有人ヘリ農薬散布はやっていません』と、具体的に説明してくれました。


宮報告では「県が個々の伐倒駆除の実施箇所等について、指示をするといったことは一切しておりません」と説明されていますが、明らかに懐疑を感じさせます。
もう一例を挙げます。1214日、伐倒駆除が出来なかった理由を坂城町に問い質した新聞記者に対して、坂城町はその理由として3点(伐倒入札の遅れ、県の入山測量、松茸山の時期)を具体的に回答しています。


伐倒駆除(指示)をめぐる食い違い、矛盾はどこに起因するのでしょうか? 仮に村山論文と宮報告の双方が正しければ、1214日以降より1月31日の間に伐倒駆除を実施したか、あるいは坂城町担当者が間違ったかのいずれかでしょう。あるいは、村山論文と宮報告のどちらかに間違いがあると考えられます。また、この真偽の如何によっては、4項目の伐倒駆除年度(平成21年度~23年迄)と、その累計量にも影響を及ぼします。
宮報告では「坂城町では、平成23年度の伐倒駆除は結果として駆除量自体は少なくなってしまった」と説明しています。従って、宮氏の見解に即して言えることは、坂城町の枯死松の殆ど大部分は放置されたままの立木状態であるということです。

4.撮影場所の「位置関係」が不正確
私は現場に計5回でかけました。ですから、現地の風景・方角などの土地勘は充分に養われました。その立場から判断して、「宮報告図」の千曲市側と坂城町側の撮影位置が違うのです。後述する写真での説明には影響しませんが、千曲市側はもう少し北東の人家内です。坂城町側は、もう少し北東の水田内です。
現地を何回も歩いたことにより、宮報告図面は相当に苦心して作成なされたことが伺われます。その御努力に敬意を払いますが、残念ながら私は執行当事者ではないので、行政データの点検が出来かねます。だから「宮報告」を前提にして論を進めたいと思います。



Ⅳ.宮報告に基づいて、改めて確認した「効果写真の不適切性」

1.千曲市側効果写真(岩井堂山北側・伐倒不可能区・空散実施)の分析
最終報告書8頁下の左写真を注意深く見てみましょう。人家の向こうのこんもりとした小高い森は「前山」と呼ばれている所です。この前山は、左側にある庄内神社(写真には写っていない)から続く峰です。
目的とする岩井堂山(空散区)は、前山から谷を越えた奥側にあり、写真では前山の稜線の上に見えています。写真では、前山と岩井堂山が重なって見え、その境界が非常に判りづらく写っているために、人家の奥の山全体が岩井堂山であると思ってしまいます。この前山は、人家に近いために空散は行われず、伐倒駆除は完璧に実施されています。この事実は1211日の現地調査で確認しました。


写真撮影は6月なので、前山の森は青々としているのです。この前山の背後に見えるのが該当する岩井堂山で、写真で見る限りは極めて不鮮明です。むしろ、前山の青さに目が行ってしまい、空中散布効果が際立っている様に見えてしまう錯覚に陥ります。
また、写真に示される山全体のうち、その6割以上が空散とは無関係の前山です。岩井堂山は残り4割ほどです。しかもその4割の森の中でも半分以上が広葉樹です。「報告書」撮影の6月には分らなかったものが、紅葉した12月には確認できました。つまり、実質的には、写真に示される範囲の2割程度だけが、岩井堂山の空散対象の松林なのです。この一枚の写真にはこの様な複雑で不明瞭な事柄があるにもかかわらず、その一切の説明は無く、《松枯れはほとんど確認できない》とキャプション付けされているだけなのです


県民に正確に説明するには、岩井堂山と前山に【境界線】を入れて説明を加え、背後の岩井堂山だけを注視させるべきです。さらに納得させる写真を示すためには、前山を越えて向こう側に行き、該当の岩井堂山を広角レンズで鮮明に撮影するべきです。
宮報告や最終報告書を客観的に解析した結果が上述の内容です。該当の1枚の写真だけでは説明できるはずはなく、最終報告書の写真は、科学性、客観性を欠いた「まやかし写真」と受け取られる可能性もあります。科学的見地に基づく事実で議論すべきです


2.坂城町側写真(岩井堂山南側・伐倒不可能区・空散中止)の分析
8頁右の写真には、《坂城町(南側)広い範囲で松枯れ被害が確認できる》というキャプション付けがされているだけです。この写真にも伐倒駆除不可能区と可能区との【境界線】を入れて説明するべきです。さらに、《境界線上部の部分は急峻だから伐倒駆除不可能です》との解説文も必要です。人家に近い伐倒駆除可能部分では、平成23年度に伐倒駆除未達成で枯死松を残した事実も説明するべきです。いづれにしても、この坂城町写真においても説明が足りません。説明図示と説明文が無いために、不適切な写真と言わざるを得ません。

3.指摘課題から回避せずに、誠実な態度表明を
以上、重ねて効果写真の不適切性を明らかにしてきました。宮報告には「比較効果写真」に対する意見、考察が一切ありません。適切なのか否かを、まず明らかにすべきだと考えます。宮報告は、この見解を表明することを素通りして、いきなり「空散効果論」に突入しています。このことから、論議の土俵を回避していると言わざるを得ません。先ずは、提示写真の不適切性を示した上で、前進するのが誠実な意見交換だと考えます。



Ⅴ.空中散布効果(宮報告)への科学的反論

写真の不適切性を指摘した上で、「効果問題」を考察します。空散の効果論争については、全国的に大分な論争がありますが、ここでは岩井堂山に限定して、純粋に科学的観点のみで論及します。バリアを超越した科学的態度が非常に重要だからです
宮報告では、千曲市側(空散実施・伐倒不可能区)の枯死松は1スポット、一方、坂城町側(3年間空散中止・伐倒不可能区)は13スポット。それ故に空散効果は明白であると主張していると読み取れます。これに対して、私は科学的立場で反論します。

1.岩井堂山の裏・表(南面と北面)での比較自体が非科学的である!

比較調査のイロハとして、対照区の条件も一定にすることが原則です。この原則に照らし合わせ改めて現地を見ると、山の裏側と表側の関係であることが分かります。つまり、南面と北面では日照時間、風向・風力、雨量など全ての環境が異なります。それに伴って当然に植生も変わります。このように、前提条件を満たしていない中での比較効果試験では、正確に事実を反映しているとは言えません。これは、科学的データを表すためのイロハを欠いた非科学的なもので、単なる個別の事象を示しただけに過ぎません。各地の事例でも、山の裏表での松枯れ被害の大差は当たり前です。ですから、厳密なる検証作業が必要だと思います。

2.空散中止「3年間比較」ではなくて「23年間比較」の検証が必要!

空散3年間中止の坂城町では13スポットの松枯れがありますが、前述したように伐倒不可能区ですから以前の枯れ松が放置されている可能性があります。事実、地元の上平集落では「防災のために山頂部分の枯れ松の搬出」を要求しているのです。
坂城町は松枯れが激しい地域で、昭和60年度(1985)から県下で最初に空散を実施しました。中止したのが3年前の平成20年度(2008)で、実に真面目に23年間も実施して来た稀なる地域です。それにもかかわらず、松枯れは撲滅できなかったのが事実です
私は、最近3年間の比較ではなく、もう少し長いスケール、例えば23年間での検証をすべきだと思います。坂城町はそれが可能である典型的地域ですから、そういう視点が必要だと思うのです。

3.岩井堂山周辺部において、坂城町側は千曲市側と比べて松枯れが多いか?

宮報告の4項目に「空散中止の3年間に千曲市139㎥、坂城町1067㎥の伐倒駆除を実施した」と説明されています。私はこの岩井堂山周辺部の数字に注目しました。ここは両方とも、空散が不可能(人家の距離)で伐倒駆除しか出来ないとされている場所です。
伐倒駆除の数字によれば、坂城町側が千曲市側の約8倍と圧倒的に多いのです。これは、間接的に被害程度を表した数字と判断しても良いと考えます。この数字から推察すると、昔から坂城町の方が千曲市よりも被害程度が圧倒的に多いのではないかと考えられます。これに関しては、被害絶対量が異なる上で効果を論議しているように思われ、厳密な分析が必要です。




Ⅵ.更にある二つの提示「効果データ」への疑義

最終報告書には、さらに二つの効果データ(10頁の図5と図6)が添付されています。この引用データを見て驚いたことは、二つとも「試験研究機関」と「調査場所」の記載が無いのです。これはデータ引用の常識を欠いています。末尾に「全国森林病害虫防除協会」とあり、私は出典である『松くい虫(マツ材線虫病)-沿革と最近の研究-』を購入して調べてみました。その結果、図5は清水市と美保の松原でのデータ、図6は鯨波地区でのデータであることが判明しました。 
この書籍は空散推進団体発行のもので、防除担当者のバイブル的解説書です。精読してみると、【予防散布】の項目では「特別防除(空中散布)と地上散布(スプリンクラー散布を含む)では、薬剤の散布形態が異なるだけなので、一緒にして予防散布として考える」(原文)とか、「現場における予防散布の効果は歴然としているが、それ故に解析できるデータとして残っているものが少ない。すなわち、実験的に必要な対照区のデータがない事例が殆どである」(原文)と記述されています。


空散と地上散布とを同列に扱ったり、正確な対照区データが無いと告白しているのです。全国的に35年間以上も空散を実施してきたにもかかわらず、これが実態なのです。これでは県担当者が適切なデータを探すのに苦労するはずで、同情を禁じ得ません。
事実、私たちの公開質問状への回答では「空散効果については、既に何十年も前から確認されておりますので」とか「空散開始が昭和60年度と遅かったので、既に有効性については知見が得られていたため、県内データの収集の必要性が無く研究報告がないため、既存の県外での事例を紹介」と回答していました。その頼りにする県外データが、この有様なのです。自明の事とされてきた空散効果データがこんなにも薄弱だったのです。
二つのデータの両方には、私たちが、「中間報告書」で提示された茨城県効果写真と長崎県効果データで問題指摘をしたように(その後、県のホームページから削除されましたが)、伐倒駆除が隠されている可能性があるのです。また、対照地区の恣意的選定も疑われるのです。つまり、原論文にまで立ち返って分析・点検しないことにはとても信用できないのです。
引用資料にまで遡って目を通した結果、このような事実が明らかになって「疑義」が膨らみました。



Ⅶ.緊急・肝心な当該自治体での「科学的検証」の必要性

今迄に述べた如く、差替えた「効果写真」と「効果データ」の全部に、これだけの『疑問・批判』があるのですから事は大問題です。貴重な県民税の使い方からも厳しく問われます
この大問題を素通り(無視)して進むことは、住民合意の自治体とは言えません。足元の地で具体的に疑問・批判が挙がっている以上、点検・検証することは当たり前だと思います。
特に今回は県検討部会の最終結論が出されていますので、それに準拠しても当然です。「最終報告書」では、空散の実施判断を市町村の自主性に委ねました。県側の主体性放棄だとの見方もありましょうが、生活者たる地域住民からは前向きに把握すべきです。


市町村は、そういう判断の「場」を設定することは当然ではないでしょうか。ましてや住民間で賛否両論があり、疑問が燻っている現状では、開かれた場で問題状況を堂々と論議することは大切です。最終判断は地域が決めますが、そのプロセスを踏まえれば住民間での対立・抗争は解消するでしょう。少なくとも、わだかまりを残すことは無くなるでしょう。
さらに言えば、実際の所、県検討部会は「健康問題」については被害回避不可能な場合には中止も有り得る(市町村判断)との選択肢を設けた様に、かなり論議がされました。しかし、「効果問題」については一切の論議が為されませんでした。たったの2行【感染を防ぐ方策としては、空中散布は極めて効果が高く、効率的な方法の一つと言える】(8頁)で片付けました。「初めから自明のこと」だとして論議されなかったのが現実です。だからこそ、実施主体である市町村において充分に議論・検討して自主的に判断すべき課題なのです。
具体的には市町村の中に、首長諮問の「空散の是非を考える検討委員会」(仮称)を組織して進めたらどうでしょうか。当然に人選は専門家を含め、多様な住民を加えて、活発な意見交流が為される必要があります。当事者(推進者・反対者)も加えた論争も重要です。そうしたプロセスを潜り抜けてこそ、一定の結論が出るのではないでしょうか。後々までも後悔しないためにも、正確な政策・実行が期待されます。




Ⅷ.追加提言

長文になり失礼ですが、以下5項目は追加提言です。参考にして欲しく思います。

1つは、里山を守る地区住民と健康被害者との対立構図を解消することです。
坂城町上平地区住民が空散再開(松枯れ防止)を要望したので、健康被害者との対立構図が発生しました。同じ町民同士の対立は不幸なことです。共に生命の問題として把握すれば、両方(松と人間)を守る施策が必ずあるはずです。此処にこそ人間の叡智が結集されるべきです。里山の松も、人間健康も守る「真の技術」が足元の地で問われているのです

2つは、空散を見直して具体的な「代替防除方法」を検討・実施することです。
空散を中止した上田市では積極的に代替防除方法を研究しています。私の裏山(塩田平下之郷東山)では、抵抗性品種の植樹、竹炭液の散布、炭の土壌処理、有機抵抗剤の処理、赤ゲラ誘致用巣箱の設置などが行われています。注目すべきは、これらは空散を中止したからこそ熱が入ったと云う事実です。従来の路線上では思考停止に陥って、発想が貧しくなります。また、埋もれている地域住民の知恵も復活・再生する可能性も出て来るでしょう

3つは、防災課題と空散再開を直結させず、別個に総合対策を講ずるべきです。
上平地区住民は岩井堂山(急峻山塊)の崩落を心配して空散再開を要求していますが、
短絡的に考えないで冷静・沈着に事実に基づいて対応することです。
枯死松の古木は松脂があり数年間は残ります。その間に雑木が自然発生します。そして目的とする広葉樹を育成すれば、立派な樹林となります。広葉樹の方が保水力は高く、防災上は有効なのです。これが生態学上の知見ですが、それでも崩落する山肌・地形ならば、これはもう専門的な「総合防災対策」が必要です。一体、空散を再開すれば崩落が無くなるとでも言うのでしょうか? 専門家たる行政マンは、正しい方策を地区民に提示・啓蒙する義務があります。住民間の不毛な対立は、道理の共有化に因って解消可能だからです

4つは、最近の『出雲市松枯れ対策再検討会議答申書』を参考にして下さい。
今年2月10日、出雲市検討会議が約7ケ月かけた答申を出しました。結論は『薬剤空中散布は盛り込まず、樹幹注入と伐倒駆除、抵抗性松の植栽を柱とする防除対策』でした。私が注目したのは、平成20年5月に空散による健康被害発生で3年間中止した後に、松を守る住民からの再開要望を受けて組織された検討会議(委員23名)での結論でした。委員構成と論議内容は非常に参考になりますので、一度、目を通されることをお勧めします。委員には賛否両方の市民が加わり、喧々諤々の自由闊達な討論が展開されていました。 
さらに注目すべきは、副会長の元農林水産省森林総合研究所九州支所長保護部長の吉田成章氏の発言でした。氏は、長野県林業薬剤防除協会の研修会(平成1314年)で指導する等、松枯れ防止のために職務をかけ全精力を傾けて空中散布を推進した当事者です。その氏が言うに「少し空散を過信し過ぎです。空散のみでゼロになった所は一例もありません」とか、「単に延命を図るだけで、はっきり言って、どうせ守り切れません」(要約)と明言しているのです。また、「保存すべき松林の周辺松を全部伐採しなければ撲滅不可能」(要旨)とも発言し、検討会議の流れを決定づけた感じがしました

5つは、行政不信を招かない為の一層の努力(行政刷新)を期待したいのです。
私たちは、原発と空散問題ほど不信が拡大・継続している事例を知りません。空散は全国的に35年以上も実施されても、「5年間で完全制覇可能!」(法案成立時の国会答弁)の掛け声とは裏腹に未だに撲滅できていません。これは村山論文で指摘した様に35年前の法案制定時の大問題(1977年「松くい虫防除特別措置法」はデータの9例中7例が捏造・改ざん・隠蔽して成立)がそのまま継続しているからです
この根源を不問にして現実が動いていますから、絶えず矛盾が噴出します。それを又、覆い隠して辻褄合わせを行うので、また「現実」との不整合が拡大するのです。これを私は「空散問題の伝統的体質」と呼んでいます。だから担当者は無理をして苦労されておいでだと思います。そういう全国的矛盾(根深い構造的体質)を背負っていますので、県担当者だけを責められないのです。


もう一つ、今回の検討部会の「情報公開」の中で、看過できない問題点がありましたので指摘します。それは、私たちの「公開質問状」の扱いの問題なのです。迅速なる「回答書」が届きましたが、重大な事実が発覚しました。傍聴の際に某委員に「質問状」の件を問うた所、「質問状の存在さえ知らなかった!?」のです。勿論それについての論議も為されていませんでした。そして回答されたのです。これは各委嘱検討委員の審議する権利が奪われたということになり、事務局専行の検討部会だと思われても仕方がありません(後に謝罪的電話がありましたが)。これは偶然に判明した例ですが、情報公開は単なるアクセサリーなのかと行政不信に陥ったことは事実です。
中間報告へのパブリックコメント(無記名の個人)は公開されても、署名入りの市民団体の公開質問状は非公開なのです。これが現制度だそうで、遂に公開されませんでした。これは県民目線から見て、何かがおかしく整合性も無くて大変に不満が残った実例でした。



Ⅸ.おわりに

思うに、今まで述べた村山論文と「見解」は、行政側に対する疑問・批判、不信が無かったら決してあり得ませんでした。長年に渡って蓄積された「客観的不信」が確かに存在するから長文になってしまいました。それは、単に空散問題を越えて「県民と行政との正しい在り方」を模索・創造する生きた実例となる可能性があるように思います
村山論文に対する宮報告はA4版の1枚でしたが、それを解かり易く反論するためにはこんなにも長文になりました。特に空散問題は国段階の問題点が大きく、県はそれに無批判的に追随して来ましたから矢面に立つのです。私は行政担当者に対する個人的わだかまりは一切ありません。むしろ、私たち「ヤマンバの会」とは同志的繋がりすら持っていますので、その県職員の有能な専門的力量を里山保全に発揮して欲しい気持ちで一杯です
今回、全く偶然に「NPO法人まちづくり研究会」を通して県側に伝わりましたが、他にも埋もれている同質の事柄は相当にあるように予想できます。それらが埋没せずにオープンになって、白日の下で堂々と交流・論議が活発化する契機になればと願っている一人です。
私は、情報公開と県民参加がもっと充実・徹底化される必要性を感じていますので、それに少しでも貢献できれば望外の幸せです。最後に私の個人署名「見解」としましたが、ヤマンバの会を始めとする仲間たちの援助も加わって完成させました。そういう県民目線の『見解』ですので、どうか皆様方の自由な御批判を宜しくお願い申し上げます

(里山の枯死した松たちを偲び脱稿/2012222終)
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2012年2月22日水曜日

世界から学ぶ成功する「宅地開発」

住宅生産性研究会の戸谷英世氏は,日本の住宅産業に警鐘を鳴らし続け,「住宅購入者の将来における自己資産の維持増殖の基本を造り、家族全員の生活の安定を図る」という「消費者の利益を高める結果、住宅産業が潤う」という経営の考え方が必要だと説き続けています。


今回は,HICPMメールマガジン第444号から転載させて頂きました。
このメルマガは,下記住宅生産性研究会(HICPM)のホームページで読むことができます。
すばらしい情報がイッパイです。

家は,その土地と街と一体であり,その資産価値を高めるには,下記「三種の神器」が必要である。
1.理念のあるマスタープランと建築設計指針
2.居住者全員が強制加入する住宅地経営管理自治団体(HOA)
3.開発事業者,住宅所有者,HOAによって締結される住宅地管理基本契約約款


これを戸谷英世氏は「三種の神器」と呼んでいます。世界の成功例を見ればこの事柄は明らかだと思います。何故,日本のリゾート開発,住宅地開発はうまく行かないのでしょうか?


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HICPMメールマガジン第444号(2012年2月20日)より
セレビレーション:ウォルト・ディズニー・カンパニーが
伝統的近隣住区開発の思想 に基づき実現した
新しい住宅街

皆さんこんにちは。

NAHB・IBSとニューアーバニズムによる住宅地開発 

2月8日から15日まで全米ホームビルダー協会(NAHB)が主催するインターナショナルビルダーズショウ(IBS)と同事業の一部として2012TNAH(ザ・ニュー・アメリカン・ホーム)、NAHBコンセプト・ホームと次世代省エネルギー住宅を見学しました。その関連で米国の最先端の住宅地経営を見学するため、フロリダ州にあるニューアーバニズムの計画理論で造られた全米を代表する住宅地経営を実施しているセレブレーション、ボールドインパーク、アバロンパークを見学し、さらに、ニューアーバニズムの原点でもあるTND(伝統的近隣住区開発)を全米で最初に実施したシーサイド、そこに隣接して開発されたウォーターカラー、ローズマリービーチを見学研修してまいりました。

(1)日本と米国の住宅産業人の考え方の違い

連日、現地見学ツアー参加者全員による見学研修成果の発表と意見交換により、見聞したことを多角的に考えるようにしました。また、これまでHICPMが調査研究した成果をもとに、参加者の疑問に答える総括をし、単独旅行では吸収できなかった多くの米国の知識、技術、経験を学ぶようにしました。

住宅を単体の「もの」として、「住宅販売で住宅会社が如何に設けるか」としか見ていない日本の住宅産業の貧しい見方に対して、米国の住宅産業は、「個人の豊かな生活実現する空間」と「住宅による将来の生活の支えとなる自己資産形成」という住宅購入者の基本的な利害関係で、「如何にして自らの住宅環境を造り、販売し、経営するか」を考えています。

アメリカンドリームの基本は、住宅を取得する「将来における自己資産の維持増殖の基本を造り、家族全員の生活の安定を図る」という「消費者の利益を高める結果、住宅産業が潤う」という経営の考え方が、このツアーで理解できたはずです。

(2)リゾートハウスと定住型住宅地の共通点と相違点

特に今回の調査で興味深かったことは、リゾート住宅地経営と定住住宅地経営の連続性と、その遷移の仕方の面白さでした。もともと米国南部には、経済的自由を求めプランテーション栽培などで大きな富を獲得した人たちや、北部の産業革命による重厚長大産業や金融業で大きな富を手にした人たちのリゾート地でのホリデイハウスが開発された歴史があります。

TND開発に最初に取り組み、シーサイドのプランナーとして大きな事業を計画したDPZ(アンドレス・ドゥワーニーとエリザベス・プラター・ザイバーグ)は、マイアミに仕事の拠点を置き、米国南部にある優れたリゾート地の住宅を調査し、豊かさを感じる住宅地の計画手法を発見しました。優れた住宅地として高い評価を受けている住宅地は、基本的に非定住型のホリデイハウスやリゾート地開発から始まり、その後、人口の増加に伴い定住住宅地に変質したものでした。その共通点がTND(伝統的近隣住区開発)であり、相違点は住宅地を経営管理する手法の違いであることが分かってきました。

(3)セレブレーションの方向とボールドウィンパークの方向性

今回の調査で、米国の社会の住宅バブル崩壊後の傷跡の大きさが、住宅市場回復に依然大きな陰を落としていましたが、住宅地経営にも大きな影響を与えていました。それを象徴するものがセレブレーション開発とボールドウィン開発の違いに現れていたと思います。

セレブレーションは、ディズニー社長アイズナーの発意で、最初の居住者でも住宅地が熟成したときのアメニティが享受できる定住型住宅開発を目指していました。しかし、実際は、その住宅地の立地がディズニーのテーマパークの計画地に隣接して開発されたことから、ディズニーリゾートライフを、何時でも我が家のように利用したいと考える世界中の金持ちのセコンドライフの拠点として購入された住宅も多数ありました。このディズニー王国での勤労者の常住住宅地であることも事実ですが、非定住者が多数住宅所有するホリディ住宅地であるという性格もある住宅地です。

世界が好況のときであれば、文字通りお金にゆとりがあるセレブが集中することになります。お金持ちが絶対量として増えるわけですから、セレブレーションは大いに需給関係を反映し、価格が上昇し続けます。しかし、世界的に景気が後退している現在は需要が冷え、当初のような高い需要による支持は、勢いを失っています。

しかし、基本的なポテンシャルのある住宅地ですから、現在でも住宅の取り引きは売り手市場です。やがて、米国の景気が向上すれば、それを反映し、再び以前の盛況を迎えることは十分期待されます。

一方、ボールドウィンパークは、オランド自体の経済発展を反映し、確実に定住人口は拡大し、勤務に非常に便利な立地で、都市的豊かさのある空間ですから、所得の高い事業主、経営者、勤労者の憧れの住宅地として高い需要に支持され続けています。そこには都市の熟成という実態のある生活が息づいているため、オランドという都市圏の限られた住宅に対して増大する需要が集中するため、需給関係の良循環が継続し、その需給関係を反映し、街の活性が停まりません。

(4)計画コンセプトの重要性

シーサイド、ウォーターカラー、ローズマリービーチのいずれを取ってみても交通が不便で、大都市から飛行機を使っても、そこに到達するのは大変不便です。それであるにも拘わらず、10年前や5年前頃と比較して、いずれのリゾートコミュニテイも確実に熟成度を高めており、しっかりした社会の変動を読み込んだ住宅地経営が行われていました。この3地区だけで3、000戸程度の住宅があります。それがいずれも、しっかりとした環境を維持向上しているのは、国民のリゾート需要に対応したコミュニテイ経営が行われているからに他なりません。

日本の別荘開発がバブル開発後、衰退し、住宅が朽ち果てて行った事例が多数ある理由は、全て土地を端切れにして分譲し、そこに土地購入者が思い思いの住宅を建て来ました。お互いが恣意的にデザインを競い合い、傷つけ合った住宅を建設し、街並み景観として相殺効果しか生まれないリゾート住宅地経営になってしまい、リゾート地全体の魅力が殺がれ、アメニティも薄れ、共倒れしたのです。

それに対して、シーサイドに象徴されるように、住宅地全体が一人の住宅地経営管理協会(法人)により経営管理され、国民のリゾート需要に応えることの出来る環境管理経営がされているため、人びとが集まってきて、各住宅の経営を成り立たせたことにあります。3、000戸の住宅といえば大きな量ですが、全米の世帯数に比較すれば無視できるほどの数値でしかありません。この事実は、リゾート地としての経営管理がしっかりされていることの重要性をはっきり説明していると感じました。


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メルマガからの引用は以上ですが,
Youtubeに,「英国・ドイツの"まちづくり"ー1・田舎暮…
他全5編がアップロードされています。
やはり”まちづくり”の基本が詳細に語られています。


詳細は,本「アメリカの住宅地開発」(戸谷英世+成瀬大治著学芸出版社2,500円)に書かれています。


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2012年2月11日土曜日

「農薬空中散布問題」について,県から情報を頂きました

2月6日付けで,「情報提供させていただきます」として,下記メールを頂きました。
全文を掲載致します。ーーとーーの間です。


ヤマンバの会事務局長村山様から,このメールに対する見解を頂きましたので,続いて掲載致します。


このようなことがオープンで論じられることはすばらしいことだと思います。


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NPO法人信州まちづくり研究会事務局 安江高亮 様

 日頃、本県の森林・林業行政推進に御協力を賜りありがとうございます。

さて、県では、これまでも千曲市・坂城町の境にございます岩井堂山の松くい虫被害について現地調査を行っているところですが、この1月31日に改めて現地踏査を実施いたしましたので、その結果を踏まえ、下記のとおり情報提供させていただきます。

 平成24年1月21日付けでNPO法人信州まちづくり研究会のホームページ(ブログ)に掲載されております記事「農薬空中散布「効果写真」の不適切性」に関連する情報でございますので、参考にしていただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。

                 平成24年(2012年)2月6日

                 長野県林務部森林づくり推進課 
                 企画幹兼保安林係長 宮 宣敏

                  記

1  岩井堂山の北側、千曲市側の空中散布が実施されている松林及び南側の坂城町の空中散布が中止された松林では、両方とも地形が急峻で伐倒駆除を実施することが困難なため、これまで双方ともほとんど伐倒駆除は行われておりません。

2 上記の松林については、千曲市側の空中散布を継続実施している松林では、ほとんど松枯れは確認できず、伐倒駆除も行われておりません。
一方、南側の坂城町側の空中散布を中止した松林では、空中散布の中止以降に発生したと考えられる松枯れが、広い範囲にスポット的に点在しているのが確認でき、伐倒駆除が行えないため放置されている状況です。

3 岩井堂山において伐倒駆除が行われているのは、千曲市・坂城町ともに、空中散布を実施している松林や空中散布を中止した松林ではなく、その下側にある民家等に近く従来から空中散布を行うことができなかった松林において、発生している松枯れを駆除しているものです。

4 上記の伐倒駆除を実施している松林では、坂城町で空中散布を中止した平成21年度から23年度までに、千曲市側で139m3、坂城町側で1,067m3の駆除が実施されています。

5 坂城町では、平成23年度の伐倒駆除事業の発注事務が遅れたため、結果として駆除量自体は少なくなってしまったと聞いておりますが、被害発生が減少しているわけではありません。
また、伐倒駆除の実施箇所は、全て千曲市・坂城町の独自の判断により定められており、県が個々の伐倒駆除の実施箇所等について、指示をするといったことは一切しておりません。

6 空中散布の実施箇所、空中散布の中止箇所、そのうち松枯れが確認された箇所、伐倒駆除の実施箇所などの位置関係につきましては、添付した図面により御確認ください。

7 御質問・御意見等ございましたら、次の担当者までお問い合わせください。

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(担当者)
長野県林務部森林づくり推進課企画幹兼保安林係長 
                宮   宣 敏

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 2/6 ヤマンバの会村山隆事務局長より上記についての見解を頂きました。
抜粋します。<>内です。


<安江様のルートで、県知事様に伝わったことから、県農林官僚が動いたのですね。情報化時代を身に染みました。反応があったこと、驚きでした。たしかに伝わったのですね!?
私宛てにも今朝来ました。こういう疑問・問題点が、堂々とオープンにされて、論議されることはとても貴重だと思います。健全な成熟社会にとっての試金石です。・・・心配し、心にかけて頂き、誠に嬉しく思います。

なかなか、県側の反論の倫理構成は苦心しています。決して譲れない一件でしょうね。県職員の優秀な頭脳をもっともっと、必要な場面に有効に活用したらと思うばかりです。論理のすり替え、先入観など多々あります。これに関しては、確りとした「見解」を出すつもりです。私たちはオープンになった以上、堂々と論陣をはるつもりです。>
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