2014年9月29日月曜日

田舎暮らしコミュニティ・中山道 芦田宿:企画書



一緒に、田舎暮らしコミュニティのモデルを創りませんか!

自分で暮らしたい人、応援したい人、

自分でもコミュニティを創りたい人、

何れもOKです!


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


田舎暮らしコミュニティ・中山道 芦田宿


企画書


NPO法人信州まちづくり研究会(以下NPOという)が
コミュニティづくり全体の
コーディネイターとファシリテーターを務め
ソフトウェアとハードウェアの
基本設計を行い推進します


このコミュニティは
コモンハウス(共同の家・設備)を持ったコミュニティの形成と
農地の確保と運営管理までシステム化した
田舎暮らしの生活拠点です


このコミュニティが完成すれば
田舎暮らしコミュニティのモデルになります



基本コンセプト
 

自然な自己実現の暮しと

持続可能なコミュニティを実現する



どんな考え方で,どんなコミュニティなのか?


1 より自然に近いところで

2 良好なコミュニティを形成し、共有施設・設備を持ち 

3 夫婦それぞれのプライバシーを尊重した家をつくり

 自然エネルギーの活用や生ごみの活用などに配慮し

5 自然と土に親しみ、より健康的で

6 生活と食がより安全・安心で

7 農地を確保し、食べ物の自給が可能で

8 生活の利便性にも配慮し、地域社会と融合し

9 より安価に暮らせ

10 資産の継承がうまくいく


こんな”田舎暮らしコミュニティ”を実現します
コミュニティの運営や管理はNPOがサポート致します




上記の考え方を,順番に説明します


1 より自然に近いところで

芦田宿は,中山道69次のうち,江戸から26番目の宿場町
周囲は田園と森林に囲まれています
立科町の南部山地は八ヶ岳中信高原国定公園の中にあり
町の約60%は森林です

コミュニティの場所は
芦田宿の中かその周辺地域に探します

地図は下記をクリックして下さい
立科町と芦田宿の地図



2 良好なコミュニティを形成し、共有施設・設備を持ち 

一人より、考えを同じくする仲間と共に生活した方が
全てに有利で強くなれるということが基本です

個人のプライバシーと共同の良さがほどよく調和し
安全・安心で永続可能なコミュニティです
このために,すてきな家と美しい環境づくりをします

そのために
このコミュニティを管理運営する地縁団体(別紙で説明)をつくり
しっかりした自治会規約を定め,自治組織をつくり
共有施設や機械機具の所有、農地の借用,コミュニティ環境の管理を行います
自治会規約は公正証書にします



3 夫婦それぞれのプライバシーを尊重した家をつくり

生活の豊かさの確保とコストダウンの両立のために
家は夫婦を基本とした小さな家とし,連棟とします
しかし,生活の場は豊かさを感じられる造りとします
夫婦それぞれの部屋の機能を充実させ、
それぞれの自己実現を助けます



4 自然エネルギーの活用や生ごみの活用などに配慮し

環境に優しいコミュニティにするため、
できる限り自然エネルギーを活用し、
生活資源循環の仕組みを組み込みます



5 自然と土に親しみ、より健康的で

標高は約700m、降水量は年間約1000ミリ
晴天率が高く、自然と土に親しむには理想的な気候です

散策,森林浴,ハイキング,川釣り,登山等が日常的にでき
軽い農作業が,何よりも健康の元になります

認知症や寝たきりにならないような健康をつくります
(信州は男女ともに日本一の長寿県。男性80.88歳、女性87.18歳です。)



6 生活と食がより安全・安心で

生活の安全・安心は
良質なコミュニティを形成することにより確保します

食の安全・安心は
自分で作った物を食べる,これが基本
きれいな水と空気の下で,無農薬栽培をします



7 農地を確保し、食べ物の自給が可能で

一人では難しい自給自足も
良好なコミュニティを形成することにより
農地の確保も容易にでき,作業も無理なく行うことができます

お米は100%無農薬で自給できます

野菜類は100%という訳にはいきませんが
春から秋まで採取できます

ジャガイモ,タマネギ,ニンニク等の根菜類は保存できます
やはり無農薬で作ります

農地は自治会が,特定農地貸付法を活用し確保します
生活や農作業に必要な高価な機械設備は共同で持ち管理します

自分達の食べる分だけでしたら,作業は適度な運動であり
仲間がいるので楽しくできます

何よりも健康を高めます

栽培方法についてはNPOが指導致します



8 生活の利便性にも配慮し、地域社会と融合し

日常生活の場は利便性が大事です
都会のようにはいきませんが、買い物、交通、医者等に配慮します

地域社会との融合も大切にします



9 安価に暮らせる

今まで述べてきた合理性と効率性を追求した結果として
各家の建設費,設備費や維持管理費が軽減できます

更に、このコミュニティでは助け合い・融通し合いができるので
総合的・生涯的に、生活コストを削減できます



10 資産の継承がうまくいく

このコミュニティが,ここに掲げたコンセプトで創られ管理されれば
心豊かな生活を実現する強く美しいコミュニティになります

立派なコミュニティを形成することができれば
社会的評価が高まり,各自の持つ土地と家の不動産価格が上がります

結果として、不動産の評価額が相対的に優位になり
売却も相続も良い形で実現します

生涯コストの低減につながります


以上

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  以下の項目については別紙です。
 ・地縁団体について
 ・公正証書について
 ・特定農地貸付法について
 ・どんな家、どんな環境整備か
 ・食べ物の自給について
 ・進め方

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2014年9月26日金曜日

コウノトリが問いかけるもの

 この記事は、ヤマンバの会事務局長村山隆様のメールから転載させて頂きました。
2013年10月30日の下記ブログの続きです。

 上田市で里山復権と地域づくりを目指して地道な活動を続ける「ヤマンバの会」事務局長村山隆さんが地域紙「東信ジャーナル」に投稿した文章です。
 300年もの時間を超えて出現したこの出来事は偶然でしょうか?

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み  たび
三度、飛来したコウノトリの問いかけ
「常に生息可能な地域」目指して
           ヤマンバの会事務局長 村山 隆
名称・鴻ノ巣を背景にたおやかな姿 ①
さる8月10日早朝、下塩尻の小川稔氏より「昨夕、コウノトリ情報を得て今朝、行って来ました。居ましたよ」と、御自身が撮影した写真メールを頂きました。私は年甲斐もなく小躍りしました。それにしても、こんなに早く「御帰り」になるとは予想もしませんでした。
私は居ても立ってもいられず、「北ノ入池」に出向き、そこで初対面しました。池の南側に羽を休め、近づくと舞い上がり「名勝・鴻ノ巣」を背景に、そのたおやかな姿を見せてくれました。私は、やっと出会えて大感激でした(今まではタッチの差ですれ違い)。小雨の中、一心に凝視しながら、信州上田に飛来した「経路」に思いをめぐらせました。
先ず、昨年9月14日頃に姉妹都市の兵庫県豊岡市を飛び立ち、約半月かけて28日に上田原「長池」に降下。これを最初に撮影したのは倉升の竹内弘氏です。翌29日に富士山「北ノ入池」で上小猟友会の中村猛会長が目撃。10月1日夕方に日本野鳥の会・前長野支部長の小栁守男氏の調査により、平成23年5月に豊岡市で孵化し、7月に巣立った3歳の雌鳥J0041だと確認されました。翌2日午前、今度は北の入池から手塚「舌喰池」に飛びました。私は早速、舌喰池に行きましたが、残念、「今さっき、数羽のトンビが追い払った」(とっこ館・西澤むめ子氏談)とのことでした。
その後、塩田平の溜め池群で目撃情報が頻発しました。それらは「幕宮池・山田池・不動池・塩吹池・浅間池」でした。更に、「浦野川」では鹿3頭に追い駆けられる様子が中之条の大島めぐみ氏によって動画撮影(1225日午前7時20)されました。
飛来コウノトリは、大方の冬季滞在は不可能との予想に反し、実に2月中旬まで5か月半も滞在。216日に浦野川で確認されたのを最後に、姿を見せなくなりました(小栁守男氏談)。その後、約2か月間は大雪・結氷の影響で、上田の地を離れました。
そして4月9日午後、常磐城「矢出沢川」で東御市滋野の熊井文男氏が、再び目撃・撮影しました! 更に偶然にも上室賀の西沢昭夫氏は、上田公園の花見の折に上空を飛ぶ勇姿を撮影(4月11日午前9時半)しました。
私は、出石城に転勤した仙石様に保護されたコウノトリが、主君の桜満開の上田城に恩返しの意味を込めて訪れたのだと思いました。

み  たび
三度、飛来したコウノトリの問いかけ
「常に生息可能な地域」目指して
  ヤマンバの会事務局長 村山 隆
無農薬栽培の水田に舞い降りる ②
では2月中旬から4月9日の約2か月間、また4月中旬から今回飛来までの約4か月間は、何処に行っていたのでしょうか? その判明した軌跡を辿ると、コウノトリJ0041は驚くべき行動をしていました。
信毎(316)は、成田空港に近い千葉県香取郡多古町の水田で、3月6日に発見・撮影した記事を掲載。その地から更に、3月31日には愛知県知多市で確認(兵庫県コウノトリ公園調べ)されました。そして再び上田に舞い戻ったわけですから、実に驚異的なトライアングルコースを飛行していました。
この多古町への飛来情報が、私の30年来の友人である全国農業教育研究会の鳥井報恩氏(日本不耕起栽培普及会幹事)よりありました。
鳥井氏によると「今年3月6日~9日、多古町染井の私たちの耕さない水田に飛来した。6年目の3畝の水田と、周辺6畝に秋から湛水して不耕起水田を広げた。勿論、農薬は使用していない。そんな自然豊かな私たちの湛水田にコウノトリが3泊4日でも滞在したことが、大きな話題となっている」「たとえ少しでも宿泊したことは、一つの契機に過ぎないが、農薬を使わないで湧水を溜める空間が広がれば、もっと日常的に飛んで来てくれる夢が広がる」(711)との手紙でした。
更に又、4月中旬から今回の約4か月間の不在期間の動静情報が、私たちと交流している方からあって、再び驚きました。
それは425日午前、反農薬東京グループの河村宏氏より届いたメールで、内容は「千葉県いすみ市岬町の水田に4月22日夕、農家の男性から目撃情報が寄せられ、駆け付けた市職員が本物と確認した」「発見場所は市が推進する環境創造型農業のモデル地区で人もコウノトリも住めるを合言葉に、昨年から無農薬のコメづくりを開始していた。その場所に取り組みのシンボルとなる鳥が舞い降りた格好だ」でした。
私は、「何という不思議な鳥J0041だろうか?」と思いつつ添付画像を開いて見て、又々ビックリ! 飛来2か月ほど前の2月11日に、「いすみ市」と「自然と共生する里づくり連絡協議会」主催のシンポジウムを開催していたのです。しかも、そのテーマは『コウノトリも住める、人や環境にやさしい、いすみの新たな農業の可能性』というもので、ポスターも「コウノトリ画」でした。こういう「峰谷営農組合モデル水田」の現場に、コウノトリが実際に舞い降りたのですから、私は鳥肌が立って言葉を失いました。
そこから宮城県登米市(57)へ、更に福井県福井市(63)へと、飛翔軌跡が確認(小栁守男氏調べ)されているのです。

み  たび
三度、飛来したコウノトリの問いかけ
「常に生息可能な地域」目指して
  ヤマンバの会事務局長 村山 隆
高まる「自然と共生の地域づくり」 ③
当コウノトリはかれこれ、信州上田に三度(みたび)も飛来したことになりますから、これはもう、偶然を超えて必然の域に入ったようです。そして、私たち上田市だけでなくて各地の市民に対して、「自然と共生する地域づくりの大切さ」を啓蒙し、それを取り組む人たちを激励さえしているのです。
地元では今日まで飛来を契機にして、溜め池を含めた里山景観の再認識や、様々な文化活動(市役所「情報コーナー」設置、塩田平「ため池フェス」開催、写真展・展示会など)が興りました。また、姉妹都市である豊岡市との絆が一層深まりました。
それに私たち「会」が直接関係する2つの実践が進みました。1つは、コウノトリ飛来に触発された市民が実行委員会を結成(全国レベル)して、「松枯れ対策を問うドキュメンタリー映画『やまんばの松』制作」が具体化し、現在撮影中です。もう一つは、「予防原則」を尊重して松枯れ農薬空中散布を止めた上田市を見習おうと運動している長野県空中散布廃止連絡協議会の名称を「愛称コウノトリの会」としました。つい最近は「リーフレット/農薬空中散布を止めて6年目信州上田にコウノトリが飛来した!」を発行しました。これらは全てコウノトリ飛来の賜物でした。

み  たび
三度、飛来したコウノトリの問いかけ
「常に生息可能な地域」目指して
  ヤマンバの会事務局長 村山 隆
減農薬研究や冬期湛水不耕起移植栽培を ④
 ここで私は、飛来三度目の正直を受けて、少し踏み込んでみます。要は、ここまで来たのですから「コウノトリが常に生息可能な地域づくり」を目標にします。それには新たな創造的仕組みづくりが必要で、以下に若干の提言を行いますので、種々ご検討下さい。
1つ、飛来コウノトリの上田における「愛称」を公募し、「住民票」を授与します。
2つ、塩田平の溜め池の「池干し」を早期に行って、餌狩り可能期間をより長く保ちます。
3つ、松枯れ農薬空散中止は勿論、果樹・作物栽培の「減農薬技術」を研究・確立します。低湿度・温度較差の大きい地元では可能です。
4つ、田んぼの生きものたちを育む場として休耕地などを利用して「常時湛水田」を設けます。これは子どもたちの「教育の場・ビオトープ」ともなります。この実現には、生産に携わっておいでの農民の方々(水利・農事組合)の格別なる御理解・御援助は勿論のこと、行政側の緻密な手立てが必要です。
5つ、地域に「冬期湛水不耕起移植栽培」を試験的に導入します。もし、この自然に優しい農法が実現すれば、「安全・安心な食べもの」として、地域的価値が一層高まります。
以上の提言は、従来の生産至上主義の克服を迫られますので、相当な葛藤を要します。「出来ない」理由は数限りなく挙がりますが、肝心なのは「人類的・世紀的課題」を見据えた観点が重要で、その「筋道」は当コウノトリから謙虚に学べば可能だと確信します。
最初は何と言っても、全市民的合意の形成が鍵となりますので、姉妹都市・豊岡市での先進的取り組み(「コウノトリを核にした地域づくり」)の勉強会を、行政や農林業・市民団体を広く網羅して開催したらと思います。
なかでも上田市政の役割は大きく、実現可能だと信じます。何故ならば、私の郵送した「飛来コウノトリを活かした地域活性化への提言」(413)に対し、大変に心ある回答が寄せられているからです。それは、「今後、コウノトリが確実に継続して飛来することが確認できる状況になれば、豊岡市との深い交流を活かして、専門的な御指導等を頂くことも検討してまいります」「今後も、コウノトリが飛来、滞在できるような自然に優しい都市を目指してまいりますので御理解と御協力をお願い致します」(93519)という返答でした。
将に、飛来コウノトリの「問いかけ」に応える具体的取り組みが期待されているのです。
追記:飛翔軌跡は報道・私的情報などを参考にしましたが、完璧ではありえないことをお断りします。
(愛称コウノトリの会副会長/20148)
(終わり)

★地元新聞『東信ジャーナル』紙に4回連載
201494 ②〃95 ③〃96 ④〃910


ーーーーーフッター

「田舎暮らしコミュニティ」のすすめ!
http://shinshumachidukuri.blogspot.com/2011/10/blog-post_9187.html

農楽のすすめ!
http://tateshinadayori2.blogspot.jp/2011/08/blog-post_26.html

”田舎暮らし”動画がYoutubeに300本以上

http://jp.youtube.com/user/takasukey
「街並づくり」の理念にご興味のある方は
http://www.youtube.com/watch?v=nn5OVYAwJnQ

メルマガ「蓼科便り」のアーカイブス
http://tateshinadayori2.blogspot.com/


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2014年9月25日木曜日

立科町と芦田宿の地図

立科町の地図は、下記URLをクリックして下さい。

長野県佐久市協和の地図(地図) - Yahoo!地図
http://yahoo.jp/f1LGZi

立科町の観光地:白樺高原・蓼科牧場・女神湖
女神湖から蓼科山を望む

女神湖と周辺の別荘地


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芦田宿の地図は、下記URLをクリックして下さい。

長野県北佐久郡立科町大字芦田の地図(地図) - Yahoo!地図
http://yahoo.jp/aDS2Ce

地図上で、交通信号表示「立科町役場入口」と「芦田」の間が芦田宿です。


2014年9月14日日曜日

オランダとベルギーの街並みと住宅 4

おなじみの住宅生産性研究会(戸谷英世理事長)のメルマガから転載させて頂きます。
一部、省略しているところがあります。今回は
「オランダの社会住宅」です。
文中のアンダーラインは編者が入れました。
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MM561号(5月26日)

みなさんこんにちは
「オランダとベルギーの街並みと住宅」の学習研究報告,第4回として限られた家計費支出の範囲で豊かな(ディーセント)な空間をつくっている「オランダの社会住宅」を調査した報告をお送りいたします。

50年前の世界を見る思い
日本でも戦後の住宅政策は、今回オランダで調査した社会住宅と同じ考え方に則り、国民の住居費負担との関係で住宅政策を立案する消費者本位の政策がとられていました。政府が住宅難世帯の解消を実現するため、公営住宅、公団住宅、公庫住宅を政府施策住宅の3本柱に立て、戦後の住宅政策を始めました。そのときは現代のヨーロッパの住宅政策と共通した政策理念に立っていました。
今回、オランダの社会住宅を実際に調査し、50年前にタイムスリップした懐かしさを感じました。しかし、現在の日本の住宅政策では、国民の住居費負担を住宅政策との関係で考える世界の工業先進国の住宅政策の共通した常識は消滅しています。
代わって、如何にして住宅産業が営業販売の技術を使って安く作った目新しい住宅を国民に高額で高い利益を上げて売り抜け(「差別化」と呼ぶ詐欺手法)、高い企業利益を上げるかに政策の重点が移り落差を感じました。

ダイワハウス会長への旭日大叙勲と日本の住宅政策
オランダから帰国して、留守中にたまった新聞を斜め読みしていたら、ダイワハウス会長が巨額な利益を上げた経営手腕の優れた企業家として国から旭日大叙勲を与えられ表彰された記事が載っていました。
ダイワハウスが巨額な利益を上げられた理由は、実際の販売価格の半分の価値しかない住宅をその2倍もの価格で販売し巨額の利益を上げたからで、儲かって当然です。販売できた直接的な理由は、金融機関がハウスメーカーの言うなりの販売価格に見合う融資を認めたから購入者の購買能力が生まれ販売できただけです。
日本の住宅政策は消費者を騙し、住宅の価値を鑑定評価しないで、営業販売にかけた費用をすべて販売価格で回収し、その販売価格に銀行が住宅ローンを与えることを容認してきました。
大手ハウスメーカーの住宅は、直接工事費が住宅販売価格の40%で、残りの60%は営業販売のための経費の回収に充てています。世界のモーゲージローンを行う住宅金融機関ならば、直接工事費である販売価格の40%にしか融資をしません。日本の住宅購入者はサラ金と同じクレジットローンで価値の半分しかない住宅をその価値を無視してローンを組まされ、買わされ、購入価格の半分の損を被り、その住宅を市場で処分する場合、半額でしか処分できません。住宅会社は巨額の利益を上げているのです。

国民本位の住宅政策か、住宅産業本位の住宅政策か
住宅購入者がローン返済をできなくなっても、住宅会社は売買契約の解除を認めず、金融機関も、欧米のように住宅を差押えてローン残高を相殺してくれません。日本では土地まで抑えても、ローン残高との相殺をしてくれません。政府は、銀行自体も価値を認めていない住宅にローンを与える住宅政策を護送船団方式により実施し、ハウスメーカーに巨額な儲けが得られるようにし、見返りに政治献金を受けてきました。まさに安倍内閣の住宅政策を象徴する受賞です。
日本のハウスメーカーの高額住宅を中古住宅で販売したときには、仮に入居していない住宅でも中古住宅として扱われ、住宅販売したハウスメーカーは販売価格で引き取ることはあり得ず、住宅金融機関もその住宅に融資をしません。それは価値が半分で営業販売経費を使ってしまった住宅は、住宅市場で初期販売価格での取引はできないないからです。
世界の工業先進国の中で日本だけが住宅の価値をもとにしたモーゲージローンではありません。消費者に「詐欺と同じ方法」で低価値の住宅を高額で販売し、巨額の利益を上げ企業経営者を政府が表彰したのです。

社会住宅とシュワーベの法則
日本の戦後の住宅政策は住宅は国民の家計費支出の対応できる範囲の住居費で住宅は供給されなければならないという英国やオランダなど北欧工業先進国の住宅政策に倣って、公営住宅、公団住宅、公庫住宅という政府施策住宅の制度を始めました。そのときの適正住居費の考え方は、ドイツの統計学者シュワーベの理論を日本の現状に読み替えて公共住宅政策が策定されました。
私が建設省住宅局に入省した一つの理由は、カールマルクスの『共産党宣言』(岩波文庫)やエンゲルスの『住宅問題』(岩波文庫)を読み、上野洋著『日本の住宅政策』,『北ヨーロッパの住宅上・下』、『建築学体系第1巻・住宅問題』(彰国社)、西山卯三著『日本の住宅問題』(岩波新書)を読んだことが直接のきっかけになっています。
これらの住宅問題の書籍に書かれていたことは、建設省入省当時の住宅局の雰囲気を表していました。住宅政策は国民の住居費負担能力の範囲でいかにして適正な品質の住宅を供給するかでなければならないと考えていました。

住居費負担と住宅建設価格の関係
この原則は現在の欧米に共通している住宅政策の考え方です。住宅政策は国民の所得に比較して飛び抜けて高額な住宅費負担を国民の住居費負担の範囲の価格、家賃に引き下げて供給することが世界の常識になっています。
住宅のような国民にとっての必需品を、その価値の2倍もの価格で販売し大儲けをし、購入した国民の資産を蝕んでいる大手住宅産業経営者に、国の最高の叙勲を与え、国民を貧困にすることを容認している住宅政策を実施している国が、民主国家であるはずはありません。
住宅の価値を評価する方法を不動産鑑定評価といいます。その基本は、日本の場合、戦後のGHQによる占領下で米国の建設業法に倣って、建設業違法第20条に明記されています。すなわち、実際に使用した材料と労務の数量に、実際支払った単価を乗じて積算した直接工事費に、20%の平均粗利を加算した見積り額として評価されています。しかし、この規定は有名無実の規定にさせられています。
そのうえ、日本では欧米と違い、民法で、土地と建築物は独立した不動産として扱われています。そのような扱いは社会科学的にありえないことです。住宅は土地に建てられて住宅としての効用を発揮するもので、土地に定着しない住宅は建材と同じです。
住宅の価値は住宅不動産という住環境全体としての効用を手にするための費用です。土地建物一体の見積額を基本に市場の需給関係を反映して決められます。現在の日本のように土地建物を分離し、建物だけで価格操作が行われ、その操作価格を金融機関が支援することは自由市場原理に反しています。日本の住宅価格の決め方は世界の常識の全く通用しない決め方です。


社会住宅の国オランダ
英国のサッチャー首相が財政破たんを救済するために公営住宅政策を放棄しましたが、それに代わる政策として家賃補助政策を取り入れ、住宅政策の基本は、国民の適正住居費負担で住宅を供給する政策を基本的に踏襲しました。
この家賃補助政策は、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグというベネルックス3国や、デンマーク、スウェーデン、ノルウエー、ドイツ、イタリア、フランスはもとより、北欧住宅先進国ではすでに実践されていたものに英国が倣ったものです。
これらの家賃補助制度により国民の住水準を保障する住宅を総称して、ヨーロッパでは「社会住宅(ソーシャルハウジング)」と呼んでいます。それは国家が国民にとって適正(ディーセント)な品質の住宅を、入居者の所得の負担できる範囲で享受できるように家賃補助を行う政策です。
そのため供給される住宅はすべて一定の品質(日本では考えられないような優れたデザイン、高機能、高品質)の住宅を、適正な家賃負担(所得の30%以内という驚くほど低い家賃負担)で供給しています。その結果、国民に豊かな生活を保障し、社会住宅は居住者を重い住居費負担から解放させ、家賃補助で軽減した家賃分だけの高い消費能力を国民が保持し、個人の家計での経済的余裕を個人消費に回すことで、国家経済を活性化させています。

取引価格と家賃の根拠となる住宅不動産の価値評価
社会住宅は国家の家賃補助の対象になりますから、当然、その価格の適正さに対する国家の審査が入ってきます。一方、一般の民間市場で取引される住宅に対しても、金融機関はその住宅不動産評価を第3者機関で鑑定評価することを根拠に融資を行っています。
住宅金融は基本的にモーゲージですから、市場で取引される価格を正確に評価する不動産鑑定評価が取引の条件になります。日本のように巨額な住宅営業販売経費を販売価格として回収する価格決定方式(価値と乖離した価格決定方式)を金融機関は認めません。
それはローン返済事故が発生したとき、市場取引価格から乖離した価格では債権回収できないので、そのような販売経費回収を前提にした住宅ローンは認めません。
オランダでは住宅ローンはモーゲージで、住宅不動産評価が土地住宅を不可分とした住環境評価を前提にした推定再建築価格とすることで、住宅価格が物価に連動する以上に上昇する経済環境をつくっています。
日本では住宅や食品等の生活必需品にまで高い消費税がかけられていますが、欧米では食住に対する消費税は基本的に免除されています。今回、社会住宅の調査を目的にしたいたわけではありませんが、娘の手配で社会住宅を3件見学し、入居者とその家族の方から食事のご招待を受け、詳しいお話を聞くことができました。

社会住宅地の事例調査:アルファン・アン・デン・ライン 
このライデン郊外の町ファン・アン・デン・ラインでは社会住宅(家賃補助)による公的援助を行っている住宅地を見学しました。
ひとつの住宅棟は、目下単身居住者が居住している住宅と、もうひとつの住宅棟は、アシステッド・リビングの社会住宅でした。これも現在、高齢者が単身居住している住宅でした。そのうち、単身居住の一般住宅はメゾネットハウスとしてかなり高密度な開発をした中層共同住宅(マルティ・ファミリー・ハウス)でした。ワンベッドルーム住宅ですが、大きなグレートルーム(リビングダイニングルームにキッチンがついている)に、こじんまりしたベッドルームがついていました。天井高さが 3メートル程度あって、メゾネット形 式の住宅であったので、住戸の両面の外気に面する開口部からの眺望は非常に良くできていました。
この住宅計画は、オランダのコートハウス形式の伝統的な2階建ての市街地住宅を2層に積み重ねた結果、4階建てのメゾネットハウスという共同住宅ができたものでした。
米国でも2階建てのタウンハウスを2層積み重ねてタウンハウスコンドミニアムがレイクランド(メリーランド州)に10年ほど前に登場していましたが、同様の高密度開発をしながら環境を向上させる取り組みです。メゾネットハウスを導入することで戸数密度を高めながら、専用住宅面積が大きく、共用部分面積が少なくできるほか、廊下がスキップなることで、1階おきに2面の外壁からの完全な眺望がとれる住宅が計画できます。その結果、各住宅からの眺望が大切にされろとともに、住宅からの眺望を含んだインテリアが豊かに演出されていました。

オランダのアシステッドリビングの社会住宅
見学した住宅地全体は大きな社会住宅団地で、様々なニーズにこたえた社会住宅が経営されていました。先に見た単身居住者の一般住宅から少し離れたところに、その母親が住んでいる入居制限が55歳以上というアシステッドリビングの社会住宅を見学しました。
訪問当日、単身で生活していた方の家族持ちの兄が母親を訪問して帰ろうとするときに出会いました。単身生活を含んで、それぞれの家族にはそれぞれ固有の生活がありますから、それぞれの生活を尊重して別の住宅で生活をしています。
複数家族が一緒に生活する住宅の選択も、経済的にも、機能的にも、むしろ家族が助け合えて良い面もあります。しかし、オランダ人にとっては、不経済で、利便性は下がるかもしれないけれど、それぞれの家族または個人の主体的な独立性を維持した生活を尊重たいと考えています。
お互いのライフスタイルを尊重しながら、お互いに提供できるサービスを持ち寄って、自分の主体的なライフスタイルを実現しようとしていました。支援をする側も支援をされる側も、お互いの生活を尊重して、無理をしないで助け合う生活を選んでいました。

住宅管理人と居住者が守る最低限の約束
このアシステッドリビングは高齢者の自立した生活を前提にし、パッシブリタイアメントコミュニティではなく、孤独死や不慮の事故が発生未然に防止する発見を目的に、日常生活を見守るものでした。そこにはNPO法人住宅協会による居住者の安全(生存)確認を、毎朝午前9時時点に見回るシステムになっていました。管理人が全住宅の玄関の表示を、住宅の外から確認するシステムです。居住者がその玄関の所定の場所にハートの形を一定時間掲示し、「元気であること」を表示し、確認するシステムは単純のようで、お互いの権利義務を明らかにした住宅生活管理システムとして、人々の生活を尊重した社会を育んでいます。
「居住者の元気表示」が掲示されていない場合には、管理人がその住宅の中に強制的に立ち入ることができる管理システムです。居住者が意識して健康表示をする「最低限守る役割」として非常に良いシステムと思われました。

高齢者支援に対するオランダの住宅政策
そこでの生活は基本的に個人個人が自分の生活には責任を持つことを前提にしており、食事サービスなどは実施しない住宅経営です。給食のケータリングサービスを求めれば、その要求には応えますが、食堂での食事提供は行いません。その代わり、居住者がショッピングに出かけたりする生活必要行動に対しては、タクシーサービスを安価に実施できるようになっています。
本人が家事などをすべて実施する前提での生活ですが、友人や家族の援助が必要な場合には、同行者にもそのタクシーサービスを利用することができるようになっています。そのタクシー代金は、バス利用するのとあまり変わらないほどの低料金で行われていました。居住者に主体的な意思を持って行動することを支援する制度は、居住者本位の優れた制度と思いました。デンマークにおける福祉の三原則、①持続性のある環境の尊重、②本人自身の残存能力の最大限の活用、③可能な選択肢の決定は自己責任で行うことの尊重は、オランダでも福祉の基本になっていました。

経済主義重視の日本の高齢者福祉住宅の対局のオランダの高齢者福祉住宅
日本では高齢になると生活の物理的支援を受ける高齢者福祉住宅を考えてしまいますが、オランダでは自分のライフスタイルとして家事を自分の生きがいとして、他人をもてなした、一緒に家事をし、人間相互の交流(コミュニケイション)を楽しむ生活が、人間の豊かな生活として尊重されていました。
日本では公的な支援住宅に代表されているように、「援助する側にとって経済効率の良い支援」が重視されてきました。その代表的な原則は、家族による支援・扶養を国の支援の大前提にする考え方です。
その延長線上に集約的な生活支援サービスが公的支援を受けて実施する政策が行われてきました。そのうえで、支援を与える住宅のサービス単価を最低にする効率性を前提にした住宅経営がされるため、個人的な特殊事情は軽視され、悪く言えば、高齢者福祉の「ブロイラー経営」が、利潤追求を容易にする高齢者福祉住宅政策として企業の経営の一つとして行われています。日本のサービス付き高齢者向け賃貸住宅制度はその典型的な事例です。
オランダの場合は、日本との全く対極にあるもので、個人の自由、選択を重視するため、援助効率は悪くなったり、全体の援助経営という視点では不経済になっているように見えるところもあります。しかし、オランダ人は物理的なサービス内容が結果的に低くなっても、個人の自由な生活を実現することが、サービスを受ける人にとってもっと大切なものと考えていました。

見学したアシステッドリビングの住宅計画
このアシスティッドリビングの住宅は、2つの住棟がペアーになってひとつのコミュニティ空間を造っていました。住棟間に10メートル以上の隣棟間隔の空間を、屋根部分を開閉できる全天候型の屋内空間として造り、広い屋内空間は、屋外空間のデザインで造られています。このように計画することで、視覚的には屋外空間のような開放的空間でありながら、屋内空間と同じ温湿度空気環境管理のできる空間として造っていました。
対面する住棟は片側廊下ですが、そこから対面する向かいの住棟には、スカイウエイが2住戸毎に先端が枝分かれして分離した構造の行き止まりの幅員2メートルの橋梁形式の取り付けとなっています。各住宅の前にアルコーブ型のホールを設け独立性を高め、相互が尊重しあえるように造られていました。
それが大きな空間の3階までの各階に造られていることで、その空間全体にダイナミックなデザインを演出していました。屋上部分には避難用のスカイウエィが造られ、安全避難の配慮がしっかりできていました。
また、廊下(スカイウエー)でつながれる基本となる住棟の向かい合う住宅も、対向する棟の住宅の玄関相互が対面しないようにするとともに、スカイウエーの突き当りには、もう一方の住棟の玄関を造らないように計画されていました。いずれもお金をかけないで、住む人の生活を快適にする配慮をした計画です。

社会住宅でのコモンスペース
この住宅はすべてリビング・ダイニング・キッチンを1室にしたグレートルームとワンベッドルームで構成されていました。住宅としては居住者の見回りを重視する管理部門と居住者のアクティブなライフスタイルを活性化されるためのコモンスペースがつくられていました。
そこでは居住者の玉突きをし、歌をうたい、楽器を演奏し、用意された図書で読書をし、会食やパーテイをし、各種活動ができるように計画されていました。居住者が自由に集まる空間をつくることで、居住者が相互にあまり交流することを意識しなくても、居住者の出会いの機会を高めるようになっていました。
私たち外来者に対しても、この広場で立ち話をしていた2人の居住者が関心を持って、いたずらっぽく、私の乗っていた車椅子の色を見て、フェラーリの色だからと言って、「フェラーリの乗り心地はどうか」といっていた冗談で話しかけてきてきました。その明るい雰囲気には驚かされました。初対面の人に心を開き冗談で話しかけることのできるのは、住み心地がよいためです。ここの居住者の平均年齢はどんどん高くなり、最若年者が70歳代とのことでした。

オランダの社会住宅と住宅により資産形成を考える持家
見学した住宅は、国から家賃補助を受けてNPO法人による住宅協会に経営されている社会住宅です。オランダでは社会住宅は居住者の一つのライフスタイルの選択という視点でされているようです。
社会住宅居住者に対する社会的な差別意識は存在せず、また社会住宅の経営には非営利経営ということに決まっているのです。これはオランダだけではなくヨーロッパ中、基本的に同じです。住宅費負担はオランダにおいても世界の先進工業国同様、持ち家の場合でも、賃貸住宅の場合でも、個人の家計費支出にとって重い負担です。
オランダでは個人の人権を国家が守るために、住宅の品質として、個人が選択できる住宅は、経済的負担能力に対応するものではありません。居住者の生活要求を満足させる国家としての保障する住宅品質を提供する住宅政策を行っています。
その住宅を持家という形式で個人財産として持つ選択もあります。その人たちはその住宅資産を維持管理するため住宅ローン返済に加えて修繕積立金、住宅地の経営管理費用の負担などのために大きな負担をします。しかし、そのためにかけた費用は、自分自身の住宅資産形成になると考え、将来の生活のための資産を守るという考え方で住宅地経営に関心を持ち、住宅のメインテナンスに頑張っています。その持ち家を所有する考え方は、米国の住宅所有の考え方と基本的に同じ資産形成の考え方です。

オランダの社会住宅というカテゴリーの住宅
一方、現時点での家計費支出の中で、国が考える適正(ディーセント)な品質は、住宅を享受するためには賃貸住宅の選択しかありません。国は適正住居費負担を世帯ごとの条件により、また提供されている社会住宅の家賃と対応させて計算し、その必要と認められる空間との対応で不足する部分は家賃補助を行っています。
その応能家賃の基準は、常に社会的に吟味されています。当然そこでは家族の条件に見合って必要とされる住宅の規模と経済家賃がありますから、家賃補助額は個別に厳しく計算され、ぜいたくな部分に対しては家賃補助の対象から除外されます。
その意味ではその家族の生活実態と所得は完全に国で把握されることになります。社会住宅には家賃補助として税金が入りますから、少なくとも社会住宅を選択する人は国民の税金からの助成を受けるため、その所得は国では完全に把握することは当然と考えられています。
日本でも納税の背番号制が俎上に乗っていますが、税金との関係で国民の所得が国家によって把握されなければならないことは、国家経営上当然の帰結です。社会住宅居住者は持ち家所有者の税金を家賃補助として使い過ぎてはいないかという社会的批判は管理強いとも言われます。

米国と似ていて違うオランダの住宅経営
オランダでの住宅では、持ち家の場合には、所有者たちが住宅を所有する目的と意識は、個人の資産形成の考えが基本となっていて、その考え方は、米国と基本的に同じです。
しかし、社会住宅を含む賃貸住宅では、賃貸住宅経営で利益を追求するという考え方は存在しないという社会です。賃貸住宅の入居者は、オランダでも米国ほどではありませんが、家賃の支払いは居住者にとっては持ち家のように個人の財産形成にはなりませんから、単なる生活必要経費の支出でしかありません。
そのため「家賃はお金をどぶ(溝)に捨てると同じである」と米国人のようには言いませんが、「生活必要経費」の支出と考えています。賃貸住宅の借家人は、住宅に縛られることなく自由に移動しますから、その経営は極めて資本主義的な市場原理が働き、賃貸住宅経営によって利潤を上げるという考え方は生まれません。
社会住宅であるため、入居者の経済条件に合わせて家賃補助が行われています。居住者は基本的に生活が守られているため、ここに生活できるようになった人は、経済的な不安がなく、高い安心が得られているようでした。

個人の生活を一番に大切にする住宅の選択
特に高齢者になった場合、健康不安と経済的不安を解消することがいかに重要であるかということを、この社会住宅は教えてくれているようでした。
そこの居住者に対して、「健康上の支援を受けることのできるナーシングホームに移動したらどうか」という家族の勧めに対して、その勧めに従えば、「自分で好きな料理をし、友達を喜ばせることのできる楽しみを奪われてしまう」と悲しんだそうでした。
「私は自分で自分の生活をしていきたい」と、支援を受けないで、自分らしい主体性を持った生活を選択しました。その結果、「食事をはじめ、友達や家族を自宅でおもてなししたい」と自分のこれまでの独立した生活を維持する生活を持続できているという話を聞きました。
住宅政策は一人一人の生活において、物理的な支援をすればよいのではなく、自由な生活の選択ができる可能性を保障することであることをこの事例は教えてくれていると思います。
その視点で見ると、政府が高齢者をブロイラーにする政策を高福祉住宅政策として国庫補助金を湯水のごとく使い、高齢者にサービス漬けにし、高齢者への福祉を口実にした金儲けを行い、住宅福祉産業を潤しているサービス付き高齢者賃貸住宅(サ・高・賃)の経営と比較し、「個人の生活を尊重する住宅政策」を持っているオランダをうらやましく思いました。

次回はライデンの庶民の生活を住宅という視点から紹介することにします。
(NPO法人住宅生産性研究会理事長 戸谷 英世)



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